横光利一 『微笑』 「父島まではどれほどかかるのです。」…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『微笑』

現代語化

「父島までどれくらいかかるの?」
「2時間だ。あそこの電力は弱いから、実験は思うようにできねえけど。それでも、1万フィートくらいまでは効くんだ。」
「へー、1万フィートならすごいじゃん。うまくいくの?飛行機だと落ちるでしょ。」
「落ちたよ。初めは操縦士と合図しといてパラシュートで飛び降りてから、その後の空の飛行機に光線を当てたんだ。うまくいったぜ。操縦士とは昨晩握手して、ウィスキーを二人で飲んだ。楽しかったよあのとき。」
「潜水艦にも当ててみたけど、あれは、うっかりして後ろに当てちまっちゃってさ、浮上するはずの奴が、いつまでも浮かないんだ。気の毒なことしちゃった。でもまぁ、仕方ないよ、国の為だから、我慢してもらうしかないだろ。」
「日本の潜水艦?」
「そうだよ。いやだったなぁ、あのときは。もう実験はコリゴリだと思ったね。あれだから嫌になる。」
「でも、そんな武器を悪人に持たせたら、やばいよな。」
「そうだろ?監視が大変だ。」
「人類が滅んじゃうよ。」
「その武器を積んだ船が6隻あれば、ロンドンの敵前上陸ができるぜ。アメリカなら、この月末にだって上陸はできるな。」

原文 (会話文抽出)

「父島まではどれほどかかるのです。」
「二時間です。あそこの電力は弱いから、実験は思うようには出来ないんですよ。それでも、一万フィートぐらいまでなら、効力がありますね。初めは海中では駄目だろうと思っていたんですが、海水は塩だから、空気中より海中の方が、効力のあることが分りましたよ。」
「へえ、一万フィートなら相当なものだな。うまくゆきますか、飛行機だと落ちますね。」
「落ちました。初め操縦士と合図しといて落下傘で飛び降りてから、その後の空虚の飛行機へ光線をあてたのです。うまくゆきましたよ。操縦士と夕べは握手して、ウィスキイを二人で飲みました。愉快でしたよそのときは。」
「潜水艦にもかけてみましたが、これは、うっかりして、後尾へ当っちゃったものだから、浮きあがる筈のやつが、いつまでも浮かないんですよ。気の毒なことをした。でも、まア、仕様がない、国のためだから、我慢をしてもらわなきゃア。」
「日本の潜水艦?」
「そうです。いやだったなア、あのときは。もう実験はこりごりだと思いましたね。あれだからいやになる。」
「しかし、そんな武器を悪人に持たした日には、事だなア。」
「そうですよ。監理が大変です。」
「人類が滅んじまうよ。」
「その武器を積んだ船が六ぱいあれば、ロンドンの敵前上陸が出来ますよ。アメリカなら、この月末にだって上陸は出来ますね。」

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