夢野久作 『能とは何か』 「上品だからいい」…

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青空文庫図書カード: 夢野久作 『能とは何か』

現代語化

「上品だからいい」
「稽古に費用がかからないからいい」
「不器用な者でも不器用なままやれるからいい」
「能のどこがいいんですか」
「謡の芸術的な生命と、自分の表現したいこととの間に、こんなにも霊的な共鳴がある」
「能というものは、なんだかよくわからないけれど、幻想的で不思議な芸術です。その素晴らしさをしみじみ感じながら、その素晴らしさの正体がわかりません。襟を正して、夢中になって、涙が出るほどぞくぞくしながら見ているのに、なぜそんな気持ちになるのか説明できません」

原文 (会話文抽出)

「上品だからいい」
「稽古に費用がかからないからいい」
「不器用な者でも不器用なままやれるからいい」
「能のどこがいい」
「謡の芸術的生命と、自分の表現慾との間にコンナ霊的の共鳴がある」
「能というものは、何だか解からないが幻妙不可思議な芸術である。そのヨサを沁みじみ感じながら、そのヨサの正体がわからない。襟を正して、夢中になって、涙ぐましい程ゾクゾクと共鳴して観ておりながら、何故そんな気持ちになるのか説明出来ない芸術である」

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