夢野久作 『難船小僧』 「……迷信だよ……」…

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青空文庫図書カード: 夢野久作 『難船小僧』

現代語化

「……迷信だよ……」
「それはそうですけどね。迷信は迷信でしょうけどね」
「ははは。ナンセンス小僧をノンセンス小僧に変えるんだ。迷信が勝つか。俺たちの動かす機械が勝つかだ」
「つまり一種の実験ですね」
「……ははは。ノンセンスの実験だよ」
「……………」
「君はいつからこの船に乗ったっけなあ」
「一昨年ぐらいでしたっけなあ」
「乗るときに機械は検査したろうな」
「しましたよ。推進機の端っこまでハンマーでたたいてみましたよ。それがどうしたんですか」
「ははは。そのときに機械の中に、迷信とか、超科学の力とか、幽霊とか、妖怪とか、理外の理とかいうものが挟まったり、引っかかったりしているのを発見したのかね。君が検査したときに……」
「それは……そんなことはありません。この船の機械は全部近代科学の理論一点張りで作って動いてるんですがね」
「今でもそうか」
「……………」
「それなら……いいだろう。中学生でもわかる話だろう。あのS・O・S小僧が台風や、竜巻や、暗礁をこの船の前途に呼び寄せる魔力を持っていることが、合理的に証明できるなら、今すぐでもあの小僧を下ろす」
「……………」
「そもそも、物理、化学で固まった地球の表面を、物理、化学で固まった船で走るんだろう。それが信じられないやつは……君や僕が扱う数理計算が当てにならないなんていうやつは、最初から船に乗らなきゃいい」

原文 (会話文抽出)

「……迷信だよ……」
「それあそうでしょうけどね。迷信は迷信でしょうけどね」
「ムフムフ。ナンセン小僧をノンセンス小僧に切り変えるんだ。迷信が勝つか。俺達の動かす器械が勝つかだ」
「つまり一種の実験ですね」
「……ムフムフ。ノンセンスの実験だよ」
「……………」
「君はいつからこの船に乗ったっけなあ」
「一昨年の今頃でしたっけなあ」
「乗る時に機械は検査したろうな」
「しましたよ。推進機の切端まで鉄槌でぶん殴ってみましたよ。それがどうかしたんですか」
「ムフムフ。その時に機械の間に、迷信とか、超科学の力とか、幽霊とか、妖怪とか、理外の理とかいうものが挟まったり、引っかかったりしているのを発見したかね。君が検査した時に……」
「それあ……そんな事はありません。この船の機械は全部近代科学の理論一点張りで出来て動いているんですがね」
「現在でもそうかね」
「……………」
「そんなら……宜えじゃろ。中学生にでもわかる話じゃろ。あのS・O・S小僧が颱風や、竜巻や、暗礁をこの船の前途に招寄せる魔力を持っちょる事が、合理的に証明出来るチウならタッタ今でもあの小僧を降す」
「……………」
「元来、物理、化学で固まった地球の表面を、物理、化学で固めた船で走るんじゃろ。それが信じられん奴は……君や僕が運用する数理計算が当てにならんナンテいう奴は、最初から船に乗らんが宜え」

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