コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』 「あそこで火を焚いてゐるのは何者だらう」…

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青空文庫図書カード: コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』

現代語化

「あそこで焚き火してるのは誰だ?」
「お前ら、最近どこで漁してるの?ヂツクマン谷じゃないよな?」
「いや、あそこじゃやってません。あの谷より上です。それで今日はもう帰るはずだったんです。」
「俺もそう思ってたんだ。で、あそこに焚き火が見えてるけど?」
「えっ?」
「あれ、誰だろうね?お前らどう思う?」
「知りませんね。旅人とかじゃないですかね?」
「そうだな。旅人ならいいんだけど。お前ら、危機感なさすぎ。俺だけ心配させて、自分は平気なんだろ?お前らも知ってるだろ?この前、樺太から牢を脱走したやつがいたって裁判長が言ってたのを。誰かが近くで見たって言ってたんだ。あそこで焚き火してるのは、多分あいつだろ。不吉すぎるよ。」
「そうかもしれません。」
「もしそうなら、あいつのやってることを見てろよ。俺はよく知らないけど、裁判所長もう町に帰ってるのかな。まだ帰ってなかったとしても、そろそろ帰る頃だろ?あそこで焚き火が見つかったら、すぐに兵隊を差し向けるぞ。かわいそうだなぁ。サルタノフ殺したんだから、捕まったら首が飛ぶよ。おい、早くボートを出してくれ。」

原文 (会話文抽出)

「あそこで火を焚いてゐるのは何者だらう」
「お前方はこの頃どこで漁をしてゐるのだい。ヂツクマン谷ではあるまいね。」
「いゝえ。あそこでは遣つてゐません。あの谷より上手です。それにけふは帰つてしまふ筈でした。」
「己もさう思つてゐたのだ。それにあそこに見えてゐる焚火はどうだい。」
「へえ。」
「何者が焚いてゐるのだらう。お前方はどう思ふ。」
「知りませんね。旅人かなんかでせう。」
「さうさ。旅人なら好いが。一体お前方は親切気がない。己にばかり心配をさせて、平気でゐる。お前達も知つてゐる筈だが、あの樺太から牢を脱けて出たものゝ事を、おとつひ裁判長が云つてゐたぢやないか。誰やらが近い所で見掛けたといふ事だつた。あの火を焚いてゐるのは、大方そいつだらう。あんまり気の好い話だ。」
「さうかも知れません。」
「もしさうだつたら、あの遣つてゐる事を見てくれ。己は好く知らないが、裁判所長はもう町へ帰つてゐるか知らん。まだ帰つてゐないにしても、もうそろ/\帰る頃だ。あの火を見付けようものなら、直ぐに兵隊を差し向けるのだ。可哀さうだなあ。サルタノフを殺したのだから、掴まへられると、首がない。おい。早くボオトを一つ出して貰はう。」

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