コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』 「おい。ブラン。何をぐづ/\してゐるのだい…

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青空文庫図書カード: コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』

現代語化

「おい。ブラン。何ぐずぐずしてるんだ」
「なんだよ」
「なんだもないの。なんで準備しないんだ」
「俺かい。俺は墓に入る準備してるよ」
「それはなんという言い草だ。お前の仲間が、もう4日間も森の中にいて、お前の来るのを待ってるんだよ。お前が行かないで、あいつらが戻ってくるようなら、ボツクの上で叩き殺されてしまうだろう。お前は流浪人になって、年を取っているんだから、義理を知らないのか」
「そうだな。もう俺は終わりだ。どうせ俺は島から外に出ることはできない。俺は年が寄った。もう生きていることはできない」
「年が寄ろうが寄るまいが、それはお前のことだ。一緒に逃げ出して、途中で死んだって、誰もお前を悪く言うものはない。ところがあの11人の人間が、お前のせいで、ボツクの上で死んだ日には、どうもお前をそのままでは置いておけないぜ。仕方がないから、俺は仲間に言いつけてやる。そうしたらどうなるかということは、お前だって分かってるだろう」
「なるほど、それは分かってる。そうなったって、誰を恨むこともできない。俺もそんな目に遭って死にたくない。どうも行かなくちゃならないかな。でも、俺はまだちっとも準備してない」
「それは俺が用意してやる。すぐやる。何が必要なんだ」
「いい上着が12いる」
「みんなもう持ってるぜ」
「俺の言うことを聞いてくれ。みんなが上着を1枚ずつ持っていることは、俺も知ってる。でも、2枚ずつなくてはいけないんだ。土人のボオトを手に入れるには、てんでに上着を脱いでやらなきゃならない。それからいいナイフが12本、斧が2つ、鍋が3つだ」

原文 (会話文抽出)

「おい。ブラン。何をぐづ/\してゐるのだい。」
「なんだ。」
「なんだもないものだ。なぜ用意をしないのだ。」
「己かい。己は墓に這入る用意をしてゐる。」
「それはなんといふ言草だ。お前の同志のものが、もう四日も森の中にゐて、お前の来るのを待つてゐるぢやないか。お前が行かないので、あいつらが戻つて来ようものなら、ボツクの上で叩き殺されてしまふだらう。お前は流浪人になつて、年を取つてゐながら、義理を知らないのか。」
「さうさな。もう己はおしまひだ。どうせ己は島から外へ出る事は出来ない。己は年が寄つた。もう生きてゐる事は出来ない。」
「年が寄らうが寄るまいが、それはお前の事だ。一しよに逃げ出して、途中で死んだつて、誰もお前を悪くいふものはない。ところがあの十一人の人間が、お前のお蔭で、ボツクの上で死んだ日には、どうもお前をその儘では置かれないぜ。為方がないから、己は仲間に言つて聞かせる。さうしたらどうなるかといふ事は、お前だつて知つてゐるだらう。」
「成程、それは知つてゐる。さうなつたつて、誰を恨みやうもない。己もそんなはめになつて死にたくはない。どうも行かなくてはなるまいかな。だが、己はまだちつとも支度をしてゐない。」
「それは己が拵へて遣る。直ぐ遣る。何々がいるのだ。」
「好い上着が十二いる。」
「みんなはもう持つてゐるぜ。」
「己のいふ事を聞いてくれ。みんなが上着を一枚づゝ持つてゐる事は、己も知つてゐる。だが、二枚づゝなくては行けないのだ。土人のボオトを手に入れるには、てんでに上着を脱いで遣らなくてはならない。それから好いナイフが十二本、鉞が二つ、鍋が三つだ。」

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