コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』 「妙なものですね。正直を言へば、お内の門を…

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青空文庫図書カード: コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳『樺太脱獄記』

現代語化

「変な話ですね。正直に言えば、あなたのお家の門を通りながら、そう思いましたよ。このお家で私を泊めてくれるだろうかって思ったんです。流浪人の中には泊めてくれない人もいるってことは、私だってよく知っています。自慢じゃないですけど、私はそんな連中とは違います。あなたも話を聞いてらっしゃるようなので、ご存知でしょう?」
「うん。少し聞いてるよ」
「そうですよね。自慢じゃないけど、私は怠けてません。自分の家の小屋で牛を1頭、雌牛を1頭、馬を1頭飼って、畑も作っています。」
「本当かよ」
「働いていますよ。神様が人間に命令された通りに働いているんです。どうも盗んだり、人を殺したりするよりは、その方がいいみたいです。早い証拠が、今夜夜中にあなたのお家の前を通って、火の灯りを見て入ってきたら、快く泊めてくださる。ありがたいじゃないですか。」
「それはそうだね」

原文 (会話文抽出)

「妙なものですね。正直を言へば、お内の門を通りながら、さう思ひましたよ。この内で己を泊めてくれるか知らと思ひましたよ。流浪人の中には泊めて遣る事なんぞの出来ない奴がゐるといふ事は、わたくしだつて好く知つてゐます。自慢ではありませんが、わたくしはそんな人間とは違ひます。あなたも話を聞いてお出でのやうですから、御承知でせうが。」
「うん。少し聞いてゐるよ。」
「さうでせう。自慢ではないが、わたくしは横着な事はしてゐません。自分の内の小屋の中に牡牛を一疋、牝牛を一疋、馬を一疋だけは飼つてゐて、自分の畑を作つてゐます。」
「実際さうしてゐるのだ」
「働いてゐますよ。神が人間にお言附けになつた通りに働いてゐるのです。どうも盗みをしたり、人殺しをしたりするよりは、その方が好いやうです。早い証拠が、かうして夜夜中あなたの内の前を通つて、火の光を見て這入つて来れば、優しくして泊めて下さる。難有いわけぢやありませんかねえ。」
「それはさうだね」

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