宮本百合子 『風知草』 「ね、云ってもいい?」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『風知草』

現代語化

「ねぇ、言ってもいい?」
「いいよ」
「私が、あなたの気持ちを傷つけたのって本当に悪かったわ。どうか許してください。――それでね、あなたは、あんなに長い間刑務所にいたんでしょ? あそこには、絶対的にあなたを支えてくれるなんてことはなかったでしょ? いつも、どっちつかずの親切か、ごまかししかなかったんでしょ。そうでしょ?」
「…………」
「絶対的に支えてくれるっていうことがわかる? どんなに酷いことを言ったり、バカなことをしても、それでも、絶対的に支えてくれるっていう、そういう絶対的な支えがわかる?」
「ひろ子の支えって、そういう絶対的な支えだってことがわかる?」
「ねぇ、わかる?」
「――絶対的な支えなら、なんでそんなこと言うの?」
「悪い亭主の見本って?」
「そうだよ」
「あら、だって母親だって自分の可愛い子に言うでしょ、悪い子の見本ですよ、くらい……」
「そういう調子じゃなかった」

原文 (会話文抽出)

「ね、云ってもいい?」
「いいさ」
「わたしが、あなたの気もちを傷けたのは本当にわるかったわ。どうか許して頂戴。――そしてね、あなたは、あんなに永い間牢屋に暮していらしたでしょう? あすこには、決して、あなたに対する絶対の支持というものは存在しなかったのよ。いつだって、二重の、いつでも逃げ腰の親切か、さもなければはぐらかししかなかったのよ。そうでしょう?」
「…………」
「絶対の支持、ということがわかる? その幅の中で、どんなに憎まれ口をきいたにしても、馬鹿をしたにしても、それでも、なお絶対の支持であるという、そういう絶対の支持がわかる?」
「ひろ子の支持は、そういう絶対の支持だということがわかる?」
「ね、わかる?」
「――絶対の支持なら、どうしてあんなことを云うのかい」
「わるい御亭主の見本?」
「そうさ」
「あら、だって母親だって自分の可愛い児に云うわ、わるい児の見本ですよ、ぐらい……」
「そういう調子じゃなかった」

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