宮本百合子 『播州平野』 「不思議でありますねえ」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『播州平野』

現代語化

「不思議ですよねえ」
「ほんとうにミヨシというところがあったんです。三次とかくの。芸備線で2時間ほど広島から行ったところに」
「ふーん。そんなことってあるものなのかしら。――それで、どういうところなの、その三次って……」
「病院はあるって」
「陸軍病院?」
「そうじゃないらしいけど……。もしかしたら、私つや子さんと連れ立って行って見て来ようかと思って」
「その三次って、つや子さんが調べに行ってた豊田村とは全く別の方角のところでしょ、ねえ」
「あれは万部線でしょう」
「の、つや子さん、つや子さん、ちょっと来てごらんなさいよ」
「ねえ、あなたが、先度行ったのは豊田村でしょ」
「はい」
「そのとき、本部で、三次っていうところのこと言わなかった?」
「さあ……」
「縫子さんが夢を見たといって、連れ立って、探しに行こうって言ってるのよ」
「本部でも、言ってました。鳥取県の三朝あたりまで分散治療に送ってあるって、個人で探したら、1年かかっても見つからないだろうって……」

原文 (会話文抽出)

「不思議でありますねえ」
「ほんにミヨシというところがありました。三次とかくの。芸備線で二時間ほど広島から行ったところに」
「ふーん。そんなことってあるものなのかしら。――そいで、どういうところなの、その三次って……」
「病院はありますって」
「陸軍病院?」
「そうじゃないらしいけど……。もしかしたら、わたしつや子はんとつろうて行って見て来ようかと思って」
「その三次は、つや子はんがしらべに行きよった豊田村とはまるで別の方角のところじゃろ、のう」
「あれは万部線でありましょう」
「の、つや子はん、つや子はん、ちょいときてみさいの」
「のう、あんたが、先度ゆきよったのは豊田村じゃのう」
「はあ」
「そのとき、本部で、三次たらいうところのこと云わなんだか」
「さあ……」
「縫子はんが夢を見たといの、つろうて、さがしに行こうかと云うてじゃよ」
「本部でも、云うてでありました。鳥取県の三朝あたりまで分散治療に送ってあるよって、個人でさがしたら、一年かかってもよう分るまいて……」

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