宮本百合子 『道標』 「こんなに、きみを離したくない僕が、誰より…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『道標』

現代語化

「こんなに、きみ離したくない俺が、誰よりもきみの旅立ちを手伝ってるなんて――」
「これから、俺ひとりでパリで、どう生きていけばいいのか、わかんないよ」
「だって、蜂谷さんはもう2年もパリで暮らしてたんじゃないの、私がいたのは偶然だったんだよ。あなたはちゃんと暮らせるよ」
「だから、佐々さんにはわかんないんだ、きみがいないときはいないときなんだ、まるで、今とは違うんだ」
「じゃあ、どうすればいいと思う?」

原文 (会話文抽出)

「こんなに、きみを離したくない僕が、誰よりもきみの出発を手つだっているなんて――」
「これから、僕はひとりで、パリで、どうして暮していいのか、わからない」
「だって、蜂谷さんはもう二年もパリで暮したんじゃないの、わたしのいたことの方が偶然だったんです。あなたはちゃんと暮せてよ」
「だから、佐々さんには分っていないんだ、きみがいなかったときはいなかったときだ、まるで、今とはちがう」
「じゃあ、どうすればいいと思うの?」

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