GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』
現代語化
「全集としても、その三人で一冊くらいは、あった方がいいんです。そうすれば佐々さんもいいでしょう、借金じゃないんだから――印税を払うことになるんだから」
「いいわ」
「借金じゃ、私に返すあてもないんですもの」
「そりゃそうです。――ただどのくらいになるかな、どっちみち本が出るのはだいぶあとだから……」
「予約ってものは、いつも最初は多いけど、あとになってドッと減るもんなんだが。……まあ、一万は出せるでしょう」
「それは三人で?」
「いや一人」
「じゃいいじゃないの。行ける」
「一万は引き受けます。あと、何か書けたら送ってください。それは別に原稿料として払いますから……」
「おや、これは珍しいお客さんだ」
「もっと珍しいことが起きたわ」
「それはよかった。企画としても、あれだけ集めるなら、そういうものも一冊あるべきですよ」
「でも木下さん、大丈夫ですか、あなたの一人合点で。――殿様はそうおっしゃいましたそうですが、と、あとから役人が来るんじゃないですか」
「相変わらず辛辣だなあ。――そんなことはありません。大丈夫です。必ず引き受けました」
原文 (会話文抽出)
「そうしましょう!」
「全集としても、その三人で一冊ぐらいは、あった方がいいものなんだ。そうすれば佐々さんもいいでしょう、借金じゃないんだから――印税をあげることになるんだから」
「いいわ」
「借金じゃ、わたしに返すのぞみはないもの」
「それゃそうです。――ただどのくらいになるかな、どっちみち本が出るのはよっぽどあとだから……」
「予約ものってものは、いつもはじめのうちよりは、あとになってぐっと減るもんなんだが。……まあ、一万は出せるでしょう」
「それは三人で?」
「いや一人」
「じゃいいじゃないの。行ける」
「一万はひきうけることにします。あと、何か書けたら送って下さい。それは別に原稿料として払いますから……」
「おや、これは珍らしいお客さんだ」
「もっと珍らしいことがおこったわ」
「それゃよかった。企画としたって、あれだけ揃えるなら、そういうものも一冊はあるべきですよ」
「でも木下さん、大丈夫ですか、あなたの一人合点で。――殿様はそうおっしゃいましたそうですが、と、あとから御用人が出るんじゃないんですか」
「相かわらず辛辣だなあ。――そんなことはない。大丈夫です。必ずひきうけました」