GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』
現代語化
「面白い」
「ずるいなぁ」
「いつ買ったのよ?」
「何日前かだっけ」
「北條一雄ってのも見たけど、やっぱこっちの方が良さそうだったから」
「ずるいなぁ」
「私が家に引きこもって色々考えてる間に……」
「私もさすがに何も知らずに行くわけにはいかないでしょ。ぶこちゃんも買えばいいよ。東京堂に山ほどあるって」
「――どこか行くんですか?」
「うん」
「まだ確定したわけじゃないんだけど――私、一生ロシア文学の翻訳で暮らすなら、思い切ってソ連に行ってみたいと思って……」
「すごい!」
「是非行ってらっしゃい」
「行かれたら、私もなんだか嬉しいです」
「――伸子さんも行くんですか?」
「私は、お金がないの」
「お金だけの話じゃないのよ」
「相変わらず器用だよね……動機がまだ熟してないんだって」
「だって――それはウメ子さんならわかってくれると思うわ。モヤモヤしたまま行ったりするの、もったいないでしょ。そうそう行ける場所じゃないんだし」
原文 (会話文抽出)
「面白い?」
「おもしろい」
「ずるいなあ」
「いつ買ったのよ」
「二三日前さ」
「北條一雄の本ていうのも見ましたがね、どうもこっちの方がいいらしいから、こっちにした」
「ずるいなあ」
「わたしが、とじこもって、あれこれ考えてるまに……」
「いくらわたしだって、まさか、何一つしらないで行くわけにも行かないじゃないか、ぶこちゃんだって買えばいいのさ、どっさり積んであるよ、東京堂に」
「――どっかへいらっしゃるんですか?」
「ああ、」
「まだはっきりきまったことじゃないんですがね――わたしもどうせ一生ロシア文学の翻訳で暮すんなら、思いきってひとつソヴェトへ行ってきたいと思って……」
「まあ!」
「いいこと! 是非いっていらっしゃい」
「いらっしゃれたら、本当に結構ですわ、わたしまでなんだかうれしくなっちゃった」
「――伸子さんもいらっしゃるんでしょう?」
「わたしは、お金がないの」
「金だけの問題じゃないんですよ」
「相かわらず手がこんでるんですよ……動機がまだ熟さないんだそうだ」
「だって――それはウメ子さんは、わかって下さると思うわ。あいまいで、行くようになってしまったりするの、惜しいんですもの。度々行けるところでもないんだもの」