宮本百合子『二つの庭』「佐々さん、豊田淳さんのおかきになるものな…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子『二つの庭』

現代語化

「佐々さん、豊田淳さんが書かれるものって読んだことある？」
「あの人のものって、楢崎さんとかが読んでるんじゃないの……私はそんな多趣味じゃないし」
「そうね」
「あの人、向こうにいるよ」
「――講座とか持ってるの」
「――聞くの？」
「うん、去年1年通った」
「豊田さんの話って、中身ある？」
「あるよ――。しかも、感覚が良くて、……」

原文 (会話文抽出)

「佐々さん、豊田淳さんのおかきになるものなんか、お読みになることがございますか？」
「あのかたのものは、楢崎さんなんかの方がよくよんでいらっしゃるのじゃないかしら……わたしは、多趣味というんじゃないんですもの」
「それはそうね」
「あの方、あっちにいらっしゃいますのよ」
「――講座をもっていらっしゃいますの」
「――あなた、おききになるの？」
「ええ、昨年一年うかがいました」
「豊田さんの話は、豊富でしょう？」
「豊富ですわ――。それに、いい感覚があって、……」

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