宮本百合子 『二つの庭』 「このお母様は、あとの写真ほど美人じゃない…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

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「このお母さん、後の写真ほど美人じゃないね、なんでだろ」
「これね」
「私だって、記念写真撮る気になれなかったんだもん、かわいそうに」
「何も知らずにお嫁に来てみれば、親戚帳に載ってない四人の男の子がチョロチョロしててさ、その子を、俊一、俊一っておばあちゃんが可愛がってるんだもん。私は本当に、これは大変なことになったって思った。誰の子だか分かんないうちは、絶対にお嫁さんにならないって決めてさ、付き添いで来たばあさんを隣の部屋に寝かせて……だって、そうだろ」
「それが、あの俊ちゃんだったの?」
「そうなのよ、だからやっと私も安心できたようなものの……」
「お父さんもお気の毒に」
「私が月を眺めて泣いてばかりだから、他に好きな人がいたのかって聞いたの……そうじゃなかったんだけど。――でも、私はお父さんに感謝してるよ」
「私の言うことをちゃんと聞いて、ひと月もふた月も、言われるがままにしてくれたんだもん。――多計代さんもかわいそうに、いきなりこんなごたごたした家へ来させられてそういう気持ちになるのも無理ない、って言ってた」

原文 (会話文抽出)

「このお母様は、あとの写真ほど美人じゃないわ、なぜかしら」
「これねえ」
「私としちゃ、記念写真をとるどころの気持じゃなかったんだもの、かわいそうに」
「何にもしらずにお嫁に来てみれば、親類書のどこにものっていなかった四つばかりの男の児がチョロチョロしていてさ、その子を、俊一、俊一っておばあさまが可愛がっていらっしゃるんだもの。私は本当に、これゃ大変なところへ来た、と思った。誰の子だか分らないうちは、決して、奥さんになるまいと決心してね、つきそいに来たばあやを次の間にねかして……だって、それゃそうだろうじゃないか」
「それが、あの俊ちゃんだったの?」
「そうだったのさ、だからやっと私も安心したようなものの……」
「お父様もお気の毒に」
「私が月を眺めて泣いてばかりいるもんだから、ほかに好きな人でもあったのかっておっしゃった……そうじゃなかったんだけれど。――でも、私はお父様に感謝しているよ」
「よく私のいうことをきいて、ひと月もふた月も、いうままにしておいてくだすったと思って。――多計代もかわいそうに、いきなりこんなごたついた家へ来させられてそういう心持になるのも無理はない、といっていらした」

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