宮本百合子 『二つの庭』 「あなたったら、建築家のくせに、ちっとも事…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

現代語化

「あんた、建築家なのに全然事務的にテキパキしてくれない――それでよく事務所の仕事終わらすよね?」
「そんなに急ぐなら自分でやればいいじゃん」
「あんた、寺島のことになると超冷淡だよね」
「俺にできることなら、最初から頼んだりしないでしょ」
「俺は、寺島に関しては、お前の気持ちの通りにするように、なんでも言う通りにしてきたつもりだけどな」
「世の中の亭主がどんなもんか、ちょっとは比較してみろよ」
「恩に着せるなんて――卑怯だよ」
「俺が卑怯かどうか、伸子に聞いてみろ」
「ほら、またあんたの『伸子に聞いてみろ』が出た!」
「人がいると毎回そうなんだよ、あんたは。――虚勢を張って――」
「いいかげんにしろよ!」
「自分の娘を人って言うやつがいるかよ。――一体何が不満でそんな悪態をつきたいんだ。何不自由なく飯食わせてやっているくせに。――やりたい放題やってるだろ」
「何不自由なくご飯食べてるのがそんなに気に入らないんなら、俺はどうでもいいよ。……さぞかしあんた一人だけでこんな立派な家にしたんだろうから」

原文 (会話文抽出)

「あなたったら、建築家のくせに、ちっとも事務的にてきぱきして下さらない――よく、それで事務所の用がすんでいらっしゃる」
「そんなにいそぐなら自分でやったらいいじゃないか」
「あなたは、寺島のこととなると、実に冷淡だ」
「わたしに出来ることなら、はじめっからお願いなんか、しやしないじゃありませんか」
「俺は、寺島のことについては、お前のこころもちのすむように、なんでもいうとおりにして来てやっている筈だ」
「世間の亭主はどんなもんか、少しはくらべて見るがいいんだ」
「恩にきせるなんて――卑怯ですよ」
「俺が卑怯かどうか、伸子にきいてみろ」
「ほら、とうとうあなたの、伸子にきいてみろ、が出た!」
「ひとがいるといつだってそうなんだ、あなたってかたは。――虚勢をはって――」
「いいかげんにしろ!」
「自分の娘をひとっていう奴がどこにあるものか。――いったいなにが不平でそう悪態をつきたいんだ。何不自由なく食わせてやっているくせに。――したいだけの我ままだってしているじゃないか」
「何不自由なく食べているのが、そんなにお気にいらないんなら、私はどうでもしましょう。……さぞあなた一人で、ここまでになすった家なんでしょうから」

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