宮本百合子 『二つの庭』 「あなたがた男って妙ね。そして、いやだわ」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

現代語化

「あなたたち男って変ね。しかも、嫌い」
「なんで、汚らしいほうが気に入るの？変のほうが嬉しいの？」
「いや別に、そういう意味で言ったんじゃないんですけど――」
「女友達で、私たちにこんなこと言った人なんていないよ」
「まあ心配しなくてもいいですよ。私は、男が女に惚れるように、女に惚れるんですから……」
「いや、どうも……なんか失礼なことになっちゃいましたね……」
「おい、ぶこちゃん、なんで、夫婦みたいに暮らしてるのに余計な世話を焼く なっ て言わないの。体裁屋！」
「だって……」
「――違う……」
「だからさ。そういう奴には、思いっきり冷水を浴びせればいいんだよ。一緒に暮らしてるんだから、言いたいことはハッキリ言うくらいの気概がないとね」

原文 (会話文抽出)

「あなたがた男って妙ね。そして、いやだわ」
「なぜ、きたならしいほうが気にいるの？　妙なほうがうれしいの？」
「いや決して、僕は、そういう意味でいったんじゃないんだが――」
「女の友達で、私たちにこんなことをいったひとはいなくてよ」
「まあ心配してくれなくてもようござんすよ。わたしは、ともかく、男が女に惚れるように、女に惚れるんだから……」
「いや、どうも……何だか失敬なようなことになっちまって……」
「なんだい、ぶこちゃん、どうして、夫婦のように暮しているのによけいな世話をやくなっていってやらないんだ、体裁屋！」
「だって……」
「――ちがう……」
「だからさ。ああいう奴には、ざっぷり冷水をあびせてやるに限るんだよ。二人が暮している以上、いいたいことはいわしとく位の実意がなくてどうするのさ」

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