宮本百合子 『二つの庭』 「何だって――ピヨン、ピヨン?」…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

現代語化

「何だって――ピヨン、ピヨンって?」
「出しかけたの?」
「ピヨン、ピヨンって――どういうこと?」
「ヨを縮めて飛ぶのよ」
「ピョンと?」
「そう」
「なんだ、これってダイヤモンドゲームじゃないか」
「そうだよ」
「そうだよ、も何もないよ。まあいいや、どうするんだって?」
「どうだい、優勢だろう。この次は失礼して入城だよ」
「入城なわけないでしょ。あなたの陣地に、そんなにぞっこん残ってる癖に。自分の陣地から完全に出てからじゃないと、敵陣には入れないんですよ」
「なんだって!そんなルールがあるなら最初から言ってよ。本当?」
「当たり前でしょ」
「そうなんですか?」
「そうやってるわ、いつも」
「じゃあまあ、これでも進軍させようか」
「そうじゃないの。一本手前のラインまでよ」
「――これはダイヤモンドゲームだよね」
「うん」
「ダイヤモンドゲームならそれがルールだよ」
「ダイヤモンドだって、これは違うのよ。一本手前までしか行けないの」
「ほら、ぶこちゃん、もう一つ行けるじゃない」
「何よ、意地悪。じゃあ、こうよ。ほら、ぴょん、ぴょん、ぴょんと!」
「二コマとんでいいっていうならこうなるでしょ」
「違うよ。それじゃ斜めのラインになっちゃう。同じラインの上じゃないとダメ」
「だって、こうだよ。あなたは頑固だね」
「今更じゃないわよ。あなただって相当頑固でしょ」
「なに?」
「あなたは、五黄でしょ」
「それでどうしたの?」
「そりゃそうよ。――うちのやつも五黄だった。五黄はダメよ。頑固なのよ」
「――出したのか、出られちゃったのか、わからないくせに……」

原文 (会話文抽出)

「何だって――ピヨン、ピヨン?」
「出しかけたの?」
「ピヨン、ピヨンて――なんのことだろう」
「ヨをちぢめて飛ぶのよ」
「ピョンと?」
「そうだわ」
「なんだ、これゃダイアモンド・ゲームじゃないか」
「そうさ」
「そうさ、もないもんだ。まあいいや、どうするんだって?」
「どうだい、優勢だろう、この次は失敬して入城だよ」
「入城なもんか。あんたの陣に、そんなにぞっくりのこってるくせに。自分の陣からすっかり出きってからでなくちゃ、敵陣へは入れないんですよ」
「なあんだ! そんなことがあるんなら初めっからいっとくもんだよ、本当かな」
「あたりまえさ」
「そうですか?」
「そうやってるわ、いつも」
「じゃあまア、これでも進軍させようか」
「そうじゃない、一本手前の線までさ」
「――これはダイアモンド・ゲームなんだろう」
「ああ」
「ダイアモンド・ゲームならそれがルールだよ」
「ダイアモンドだって、これはちがうんですよ、一本手前までしか行けないんだよ」
「そら、ぶこちゃん、もう一つ行けるじゃないか」
「何だ、小癪な。じゃ、こうだ、ほら、ぴょん、ぴょん、ぴょんと!」
「二コマとんでいいっていうならこうなるじゃないか」
「違うさ、それじゃ斜の線だもの、同じ線の上でなくちゃ」
「だって、こうだぜ、君は強情っぱりだなア」
「今更じゃないよ、自分だって相当偏窟のくせに」
「なに」
「君は、五黄だろう」
「それがどうしたのさ」
「道理で。――うちの奴も五黄だった。五黄はいかんよ。頑迷だよ」
「――出したのか、出られちまったのか、わかりもしないくせに……」

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