宮本百合子 『二つの庭』 「――でも、私には、それだけじゃよくわから…

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青空文庫図書カード: 宮本百合子 『二つの庭』

現代語化

「――でも、私には、それだけじゃ納得いかないんだ。女の人が、自分で働いてお金を稼いで、そのお金で好きなように生きられるようになっても……それだけじゃなんか足りない気がするんだ。そもそも、なんで好きなように生きなきゃいけないのか、そこがはっきりしないと」
「初めて聞いたよ」
「そんなこと、全然言わなかったじゃない」
「例えば、雑誌を1冊出すにしても、それが何のために出されるのかはっきりしてないのに、ただ女の人がやってるからってだけで価値があるって言えないでしょ?……」
「難しいよね」
「考えても仕方がないような気もするし、うちの奴みたいに、最初から考えないタイプと付き合うのも大変だし……」
「ところで、今日は誘いに来たんだ。――どこか出かけない?」
「どこに行きたいの?」
「温室に連れてってあげようと思って」
「今、カーネーションがすごいらしいよ、ね、――行こう」
「今からだと……」
「帰りは送っていくよ。夕方には暇があるんだ。このくらいの季節なら夜中にボイラーを焚くだけでいいからね」
「――ぶこちゃん、どうする?」
「私は行ってもいいけど……」
「じゃあ行こう。おいしい干物があるから、それを持って行ってご飯食べよう」
「ぜひ来てごらん。驚くと思うよ……きれいだから――」

原文 (会話文抽出)

「――でも、私には、それだけじゃよくわからないわ。女のひとが、自分の力で金をとって、それで自分が暮したいように暮す……それっきりでおしまいじゃ、なんだか足りないものがあるわ。なんのために、そうして暮したいように暮すんだか、そこがはっきりしなくちゃ」
「初耳だね」
「そんなこと、ちっとも話さなかったじゃないか」
「たとえば、雑誌一つ出すにしろね、なんのためにそれが出されるのか、はっきりわからないのに、ただ女がそれを出すからっていうだけで、本当のねうちがあるって云えやしないでしょう?……」
「むずかしいもんさね」
「考えてもきりがないようなもんだし、うちの奴みたいに、てんから考えない女も、つきあえたものじゃなし……」
「ところで、きょうは、ひっぱり出しに来たんだ。――ひとつ出かけませんか」
「どこへ?」
「温室を見せようっていうんです」
「いま、カーネーションが素晴らしいところなんだ、ね、――行こう」
「いまっからじゃあ……」
「かえりは送って来るよ、宵の口はひまがあるんだ。この頃の気候だと夜中にボイラーをたくだけでいいんだから」
「――ぶこちゃん、どうする?」
「私は行ってもいいけれど……」
「じゃ、行こう、おいしい干物があるから、あれをもってって御飯たべよう」
「来て見なさいとも。びっくりするから……きれいで――」

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