宮本百合子 『白い蚊帳』 「このお婆ちゃんは頑固でどうしてもお医者が…

青空文庫現代語化 Home書名リスト宮本百合子 『白い蚊帳』

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。 正しく現代語化されていない可能性もありますので、必ず原文をご確認ください。


青空文庫図書カード: 宮本百合子 『白い蚊帳』

現代語化

「このおばあさん頑固でさーお医者さん絶対行きたがらないのよ。土屋さん、ちょっと説得してよ」
「精神的にもきてるんだろうね」
「最近生きる楽しみがなくなった気がする――何か期待する気も全然起きなくなっちゃって、超冷めた感じだよ、悟ったといえば悟ったのかな……」
「悟りってのは冷めてるもんじゃないのよ、あったかいはずよ」
「ケチなこと言うと、火をつけるぞ――」
「――なに?」
「なんだ、飛んだ婆焼庵だね」
「ほんとだよ、若い頃は、立派な家に住んでる人見ると、あーうらやましい、自分もこんな家に住みたいって思ったけど、最近じゃ、この家の後って一体誰が継ぐんだろう、って思う、うらやましいなんてちっとも思わない。むしろ変に寂しくなる。――それに……最近じゃお父さんの力もわかってきたし……これ以上の成功はないと思えてきたしね」

原文 (会話文抽出)

「このお婆ちゃんは頑固でどうしてもお医者がいやだって仰云るのよ。土屋さん、一つすすめて頂戴」
「一つは精神的にも来ているんだろう」
「この頃は生きている張合がなくなったような気がする――何か期待するなんていう気持がちっとも起らなくなってしまった、極く冷やかな心持だねえ、悟ったって云えば悟ったのかもしれないが……」
「悟りは冷やかなもんじゃあないことよ、あたたかいはずよ」
「けちなこと云い出すと、火をつけるぞ――」
「――何だい――」
「なんだ、飛んだ婆焼庵だね」
「全くね、若い時分には、立派な家に棲っている人を見ると、ああ羨しい、自分もどうかあんな家に住みたいと思ったもんだが、この頃は、まあ一体こんな家の後をどんな人が継ぐのだろう、と思うね、羨しくなんぞちっともない。却って変な淋しい気になる。――それに……この頃では父様の力というものも分って来たし……これ以上の成功は望めないと思って来たしね」

青空文庫現代語化 Home書名リスト宮本百合子 『白い蚊帳』


青空文庫現代語化 Home リスト