宮沢賢治 『北守将軍と三人兄弟の医者』 「馬はまもなく治ります。あなたの病気をしら…
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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『北守将軍と三人兄弟の医者』
現代語化
「馬はすぐに治ります。あなたの病気を調べるために、馬を座らせただけです。あなたは向こうの方で何か病気になりましたか?」
「いいえ、病気はしませんでした。病気はしなかったんですが、狐にだまされて、困ることがたまにあります」
「どういうことですか?」
「向こうの狐はひどいんです。10万近い軍勢を、一度にだましてしまうんです。夜にたくさん火を灯したり、昼間いきなり砂漠の上に大きな海を作って、城なんかも出したりするんです。本当にたちが悪いですよ」
「それを狐がやるんですか?」
「狐とそれからスナホドリです。スナホドリという鳥です。こっちは人がいないときは高いところを飛んでいますが、誰かを見つけると試してくるんです。馬の尻尾を抜いたり、目をつついたりするやつで、これが現れると馬は震え上がって、どうしようもなくなってしまうんです」
「そんなら一度だまされると、何日くらいでよくなりますか?」
「まあ4日くらいです。5日のときもあるようです」
「それじゃあなたは今までに何回くらいだまされました?」
「少なくとも10回くらいでしょうか」
「ではお聞きします。100と100を足すと答えはいくらになりますか?」
「180です」
「では200と200では?」
「そうです、360でしょう」
「ではもう一つ伺いますが、10の2倍は何ですか?」
「それはもちろん20です」
「なるほど、よくわかりました。あなたは今でも少し砂漠に疲れています。つまり10パーセントですね。では治してあげましょう」
原文 (会話文抽出)
「馬はまもなく治ります。あなたの病気をしらべるために、馬を座らせただけです。あなたはそれで向ふの方で、何か病気をしましたか。」
「いゝや、病気はしなかつた。病気は別にしなかつたが、狐のために欺されて、どうもときどき困つたぢや。」
「それは、どういふ風ですか。」
「向ふの狐はいかんのぢや。十万近い軍勢を、たゞ一ぺんに欺すんぢや。夜に沢山火をともしたり、昼間いきなり破漠の上に、大きな海をこしらへて、城や何かも出したりする。全くたちが悪いんぢや。」
「それを狐がしますのですか。」
「狐とそれから、砂鶻ぢやね、砂鶻というて鳥なんぢや。こいつは人の居らないときは、高い処を飛んでゐて、誰かを見ると試しに来る。馬のしつぽを抜いたりね。目をねらつたりするもんで、こいつがでたらもう馬は、がたがたふるへてようあるかんね。」
「そんなら一ペん欺されると、何日ぐらゐでよくなりますか。」
「まあ四日ぢやね。五日のときもあるやうぢや。」
「それであなたは今までに、何べんぐらゐ欺されました?」
「ごく少くて十ぺんぢやらう。」
「それではお尋ねいたします。百と百とを加へると答はいくらになりますか。」
「百八十ぢや。」
「それでは二百と二百では。」
「さやう、三百六十だらう。」
「そんならも一つ伺ひますが、十の二倍は何ほどですか。」
「それはもちろん十八ぢや。」
「なるほど、すつかりわかりました。あなたは今でもまだ少し、砂漠のためにつかれてゐます。つまり十パーセントです。それではなほしてあげませう。」
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