GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『税務署長の冒険』
現代語化
「うん。さっき組合に怪しげな奴が名刺を置いて行ったそうだけど、こいつだろう」
「どうだ?放してやるか?」
「いや、よく調べないとダメです。念には念を入れないと後で大変なことになります」
「いえ、こいつはさっき一度私が番所から追い返したんです。どうも怪しいと思ったので注意したら、椎茸山はこっちかと聞くんです。こっちじゃない、帰れ帰れって言ったら、そうですか、ここから回る道はないかとまた聞いてくるんです。ないない、帰れって言ったら、仕方なく戻って行きました。いつの間にどこを回ってここに入ったのか、こいつはきっと税務署の回し者でしょう」
「うん。そう言えば俺にも顔覚えがある。表に引きずり出してみろ。お前は行って番所にいろ」
「立て、この野郎」
原文 (会話文抽出)
「こいつはトケイの椎蕈商人ださうです。椎蕈を買はうと思って来たんださうです。」
「うん。さっき組合へうさんなやつが名刺を置いて行ったさうだがこいつだらう。」
「どうだ。放してやるか。」
「いや、よく調べないといけません。念に念を入れないとあとでとんだことになります。」
「いゝえ、こいつはさっき一ぺん私が番所から追ひ帰したのです。どうもあやしいと思ひましたからとがめましたら椎蕈山はこっちかと云ふんです。こっちぢゃない帰れ帰れって云ひましたらさうですかここらからまはるみちはないかとまた云ひやがるんです。ないない。帰れと云ひましたら仕方なく戻って行きました。そいつをいつの間にどこをまはってこゝへ入ったかもうこいつはきっと税務署のまはしものです」
「うん。さう云へばどうもおれにもつらに見おぼえがある。表へ引っぱり出してみろ。てめへは行って番所に居ろ。」
「立てこの野郎」