GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『税務署長の冒険』
現代語化
「ああ、そうですか」
「今朝はまだどなたもお見えになってないんですか」
「はい、いらっしゃいません」
「ではお待ちします。お構いなく。今年は椎茸はどうですか？この雨で豊作のようですが」
「あまりよくないみたいです」
「へえ。匂いや何かは悪いでしょうけど、生える量はたくさんあるでしょうね」
「できるでしょう」
「どうでしょう？私は東京の乾物屋なのですが、借金の代わりにたくさんお酒を貰ったんです。椎茸と交換してもらえませんか？安くします」
「ダメでしょう。こっちにもお酒はあるんで」
「町から買ってらっしゃるんですか？」
「いや」
「どこかに酒屋があるんですか？」
「酒屋ではないよ」
「どこですか？」
「どこって、組合とはまた別なんだよ」
原文 (会話文抽出)
「今日は、いゝお天気でございます。ごめん下さい。私はトケイから参りました斯う云ふものでございますがどうかお取次をねがひます。」
「あゝさうすか。」
「今朝はまだどなたもお見えにならないんですか。」
「はあ、見えないで。」
「えゝ、ではお待ちいたします、どうかお構ひなく。いかゞでございませう。本年は椎蕈の方は。この雨でだいぶ豊作でございませうね。」
「あんまりよくないさうだよ。」
「はあいや匂やなにかは悪いでせうが生えることは沢山生えましてございませうね。」
「できたらう。」
「どうでせうね。わたしあ東京の乾物屋なんだが貸しの代りに酒をたくさんとったのがあるんだがどうでせう。椎蕈ととり代へるのを承知下さらないでせうかね。安くしますが。」
「さあだめだらう。酒はこっちにもあるんだから。」
「町から買ふんでせう。」
「いゝや」
「どこかに酒屋があるんですか。」
「酒屋ってわけぢゃない。」
「どこですか。」
「どこって、組合とはまた別だからね。」