宮沢賢治 『かしはばやしの夜』 「さあ、はじめて呉れ。」…

青空文庫現代語化 Home書名リスト宮沢賢治 『かしはばやしの夜』

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。 正しく現代語化されていない可能性もありますので、必ず原文をご確認ください。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『かしはばやしの夜』

現代語化

「さあ、始めてくれ。」
「兎の耳は長いけど 馬の耳より長くない。」
「わあ、うまい!うまい。あはは、あはは。」
「1等、白金メダル。」
「僕のは狐の歌です。」
「いいよ。始めろ。」
「狐、こんこん、狐の子、 月夜に尻尾が燃え出した。」
「わあ、うまい!うまい。わはは、わはは。」
「2等、金メダル。」
「今度は僕やります。僕のは猫の歌です。」
「いいよ。始めろ。」
「山猫、にゃーご、ごろごろ 里猫、タツコ、ごろごろ。」
「わあ、うまい!うまい。わはは、わはは。」
「3等、水銀メダル。おい、みんな、大きいのも出るんだよ。どうしてそんなにのんびりしてるんだ。」
「私のはクルミの木の歌です。」
「いいよ。みんな静かにするんだ。」
「クルミは緑の金、な、 風に吹かれて  すいすいすい、 クルミは緑の天狗の扇、 風に吹かれて  ばらんばらんばらん、 クルミは緑の金、な、 風に吹かれて  さんさんさん。」
「いいテノールだね。うまいね、わあわあ。」
「4等、ニッケルメダル。」
「僕のは猿の尻尾です。」
「よし、始めろ。」
「小猿、小猿、 お前の尻尾濡れてるぞ、 霧、ぽっしやん ぽっしやん ぽっしやん、 お前の尻尾腐るぞ。」
「いいテノールだね、いいテノールだね、うまいね、うまいね、わあわあ。」
「5等、トタンのメダル。」
「私のはしゃっぽの歌です。」
「いいよ。始めろ。」
「ウコンしゃっぽのカンカラカンのカーン 赤いしゃっぽのカンカラカンのカーン。」
「うまい!うまい。ステキだ。わあわあ。」
「6等、偽金のメダル。」
「なんだ、この歌偽物だぞ。さっき人の歌ったのを真似たんだぞ。」
「黙れ、無礼者!お前の口を出すところじゃない。」
「なんだって?偽物だから偽物と言ったんだ生意気言うと、明日斧を持ってきて、片っ端から伐ってしまうぞ。」
「何を?腰抜けめ。お前の分際じゃない。」
「バカを言うな!俺は明日、山主の藤助にちゃんと2升酒を買ってくるんだ。」
「それならなぜ俺に買わないのか?」
「買う理由がない。」
「買え。」
「理由がない。」
「やめろ、やめろ。偽物だから偽金のメダルをやるんだ。そんなに喧嘩するなよ。さあ、次はどうだ。出るんだ出るんだ。」
「私のは清作の歌です。」
「なんだって?」
「まあ、待ってくれ。君の歌だって悪口とは限らないよ。いいよ。始めろ。」
「清作は、一等卒の服を着て 野原に行って、ブドウをたくさん採ってきた。 とのことだ。誰か続きを歌ってくれ。」
「ホー、ホー。」
「7等、鉛のメダル。」
「私が続きを歌います。」
「いいよ。始めろ。」
「清作は、ブドウをみんな絞りあげ 砂糖を入れて 瓶にたくさん詰めた。  おい、誰か続きを歌ってくれ。」
「ホツホウ、ホツホウ、ホツホウ。」

原文 (会話文抽出)

「さあ、はじめて呉れ。」
「うさぎのみゝはながいけど うまのみゝよりながくない。」
「わあ、うまいうまい。あゝはゝ、あゝはゝ。」
「一とうしやう、白金メタル。」
「ぼくのは狐のうたです。」
「よろしいはじめつ。」
「きつね、こんこん、きつねのこ、 月よにしつぽが燃えだした。」
「わあ、うまいうまい。わつはゝ、わつはゝ。」
「第二とうしやう、きんいろメタル。」
「こんどはぼくやります。ぼくのは猫のうたです。」
「よろしいはじめつ。」
「やまねこ、にやあご、ごろごろ さとねこ、たつこ、ごろごろ。」
「わあ、うまいうまい。わつはゝ、わつはゝ。」
「第三とうしやう、水銀メタル。おい、みんな、大きいやつも出るんだよ。どうしてそんなにぐずぐずしてるんだ。」
「わたしのはくるみの木のうたです。」
「よろしい、みんなしづかにするんだ。」
「くるみはみどりのきんいろ、な、 風にふかれて  すいすいすい、 くるみはみどりの天狗のあふぎ、 風にふかれて  ばらんばらんばらん、 くるみはみどりのきんいろ、な、 風にふかれて  さんさんさん。」
「いゝテノールだねえ。うまいねえ、わあわあ。」
「第四とうしやう、ニツケルメタル。」
「ぼくのはさるのこしかけです。」
「よし、はじめ。」
「こざる、こざる、 おまへのこしかけぬれてるぞ、 霧、ぽつしやん ぽつしやん ぽつしやん、 おまへのこしかけくされるぞ。」
「いゝテノールだねえ、いゝテノールだねえ、うまいねえ、うまいねえ、わあわあ。」
「第五とうしやう、とたんのメタル。」
「わたしのはしやつぽのうたです。」
「よろしい。はじめ。」
「うこんしやつぽのカンカラカンのカアン あかいしやつぽのカンカラカンのカアン。」
「うまいうまい。すてきだ。わあわあ。」
「第六とうしやう、にせがねメタル。」
「なんだ、この歌にせものだぞ。さつきひとのうたつたのまねしたんだぞ。」
「だまれ、無礼もの、その方などの口を出すところでない。」
「なんだと、にせものだからにせものと云つたんだ。生意気いふと、あした斧をもつてきて、片つぱしから伐つてしまふぞ。」
「なにを、こしやくな。その方などの分際でない。」
「ばかを云へ、おれはあした、山主の藤助にちやんと二升酒を買つてくるんだ」
「そんならなぜおれには買はんか。」
「買ふいはれがない。」
「買へ。」
「いはれがない。」
「よせ、よせ、にせものだからにせがねのメタルをやるんだ。あんまりさう喧嘩するなよ。さあ、そのつぎはどうだ。出るんだ出るんだ。」
「わたしのは清作のうたです。」
「何だと、」
「まあ、待ちたまへ。君のうただつて悪口ともかぎらない。よろしい。はじめ。」
「清作は、一等卒の服を着て 野原に行つて、ぶだうをたくさんとつてきた。 と斯うだ。だれかあとをつゞけてくれ。」
「ホウ、ホウ。」
「第七とうしやう、なまりのメタル。」
「わたしがあとをつけます。」
「よろしい、はじめ。」
「清作は、葡萄をみんなしぼりあげ 砂糖を入れて 瓶にたくさんつめこんだ。  おい、だれかあとをつゞけてくれ。」
「ホツホウ、ホツホウ、ホツホウ、」

青空文庫現代語化 Home書名リスト宮沢賢治 『かしはばやしの夜』


青空文庫現代語化 Home リスト