宮沢賢治 『どんぐりと山猫』 「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづ…
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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『どんぐりと山猫』
現代語化
「うるさい！ここはどこだと思ってんだ！静かにしろ、静かにしろ！」
「裁判ももう今日で3日目だぞ。いい加減に仲直りしたらどうだ？」
「いやいや、ダメです。なんといっても、頭のとがってるのが一番偉いんです。」
「違うんです。丸いのが偉いんです。」
「そうじゃないよ。大きいのが偉いんだよ。」
「黙れ、うるさい！ここはどこだと思ってんだ！静かにしろ、静かにしろ！」
「裁判ももう今日で3日目だぞ。いい加減になかなほりをしたらどうだ？」
「いや、いや、だめです。頭のとがったものが……。」
「うるさい！ここはどこだと思ってんだ！静かにしろ、静かにしろ！」
「この通りです。どうしたらいいでしょうか？」
「それなら、こう言い渡したらいいだろう。この中で一番バカで、めちゃくちゃで、まるでなってないやつが一番偉い、と。僕は説教聞いたんだ。」
原文 (会話文抽出)
「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづまれ、しづまれ。」
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減に仲なほりしたらどうだ。」
「いえいえ、だめです。なんといつたつて、頭のとがつてゐるのがいちばんえらいのです。」
「いゝえ、ちがひます。まるいのがえらいのです。」
「さうでないよ。大きなことだよ。」
「だまれ、やかましい。こゝをなんと心得る。しづまれしづまれ。」
「裁判ももうけふで三日目だぞ。いゝ加減になかなほりをしたらどうだ。」
「いえ、いえ、だめです。あたまのとがつたものが……。」
「やかましい。こゝをなんとこゝろえる。しづまれ、しづまれ。」
「このとほりです。どうしたらいゝでせう。」
「そんなら、かう言ひわたしたらいゝでせう。このなかでいちばんばかで、めちやくちやで、まるでなつてゐないやうなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」
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