宮沢賢治 『饑餓陣営』 「次のは何でありますか。」…

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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『饑餓陣営』

現代語化

「次のは何ですか」
「ファンテプラーク章だ」
「まぶしすぎて目がくらみそうです」
「そうだろう。それは支那戦のニコチン戦役でもらったんだ」
「立派ですね」
「そうだろうよ」
「これはチベット戦争ですか」
「なるほど、チベットの馬のマークがついてるな」
「これは普仏戦争ですか」
「なるほど、ナポレオン・ボナパルトの頭のマークがついてる。でも閣下は普仏戦争に参加されましたんですか」
「いいや、60銭で買ったんだよ」
「なるほど、本当に立派ですね。60銭では安すぎますよ」
「うん」
「その次の勲章はどれですか」
「これだ」
「これはどこの国から贈られたんですか」
「アメリカだ。ニューヨークのメリケン粉会社から贈られたんだ」
「へえ、すごいですね」
「次はどれですか」
「これだ」
「珍しいですね。これも支那戦争ですか」
「違うよ。支那の大将と豚を5匹で交換したんだ」
「なるほど、ハムサンドイッチですね」
「これはどうだ」
「立派ですね。何の勲章ですか」
「息子と交換したんだ」
「その次は」
「これはモナコ王国でバクチの親父をやったときに貰ったんだ」
「えー、恐れ入ります」
「これはどうだ」
「どこの勲章ですか」
「手作りの手作りだ。俺が作ったんだ」
「なるほど、立派な作品ですね。次のを見せてください」
「これはアフガニスタンでマラソンをやって取ったんだ」
「なるほど、次はどれですか」
「あと2つしかないよ」
「2つでちょうどいいような気がします」
「何だ」
「そう思います」
「勲章か。いいよ」
「これはどちらから贈られたんですか」
「イタリアごろつき組合だ」
「なるほど、『ジゴマ』って書いてあります」
「おい、やれ」
「本当に立派ですね」
「これはもっと立派だぞ」
「これはどこで受け取られたんですか」
「ベルギー戦役、マイナス15里進軍の際、スレンジングトンの街道で拾ったよ」
「なるほど」
「少し馬の糞がついてるけど、立派でしょう」
「どうだ、どれも立派だろう」
「本当に立派でした」
「立派でした? ダメだ。言葉遣いがなってない。立派でありますと言うんだ。でしたと言えば過去になるだろう」
「立派であります」
「ああ、さっきのは完了形の意味だったんだ。ところで閣下、このいい機会なので、あなたの素晴らしい肩章も見せていただけませんか」
「ふん、いいだろう」
「本当に素晴らしいですね」
「うん。金無垢だからな。溶かしてはいけないぞ」
「はい、大丈夫ですよ。後ろの6人でよく見て」
「ダメダメ、肩章を壊しちゃダメ」
「いいえ、すぐに組み立てます。もう片方も見せていただきたいです」
「ふん、後で全部組み立て直すならまあいいだろう」
「なるほど、金無垢ですね。すぐに組み立てます」

原文 (会話文抽出)

「次のは何でありますか。」
「ファンテプラーク章じゃ。」
「あまり光って眼がくらむようであります。」
「そうじゃ。それは支那戦のニコチン戦役にもらったのじゃ。」
「立派であります。」
「それはそうじゃろう」
「どうじゃ、これはチベット戦争じゃ。」
「なるほど西蔵馬のしるしがついて居ります。」
「これは普仏戦争じゃ、」
「なるほどナポレオンポナパルドの首のしるしがついて居ります。然し閣下は普仏戦争に御参加になりましたのでありますか。」
「いいや、六十銭で買ったよ。」
「なるほど、実に立派であります。六十銭では安すぎます。」
「うん、」
「その次の勲章はどれでありますか。」
「これじゃ、」
「これはどちらから贈られたのでありますか。」
「それはアメリカだ。ニュウヨウクのメリケン粉株式会社から贈られたのだ。」
「そうでありますか。愕くべきであります。」
「次はどれでありますか。」
「これじゃ、」
「実にめずらしくあります。やはり支那戦争でありますか。」
「いいや。支那の大将と豚を五匹でとりかえたのじゃ。」
「なるほど、ハムサンドウィッチですな。」
「これはどうじゃ。」
「立派であります。何勲章でありますか。」
「むすこからとりかえしたのじゃ。」
「その次は、」
「これはモナコ王国に於てばくちの番をしたとき貰ったのじゃ。」
「はあ実に恐れ入ります。」
「これはどうじゃ。」
「どこの勲章でありますか。」
「手製じゃ手製じゃ。わしがこさえたのじゃ。」
「なるほど、立派なお作であります。次のを拝見ねがいます。」
「これはなアフガニスタンでマラソン競争をやってとったのじゃ。」
「なるほど次はどれでありますか。」
「もう二つしかないぞ。」
「もう二つで丁度いいようであります。」
「何が。」
「そうであります。」
「勲章か。よろしい。」
「これはどちらから贈られましたのでありますか。」
「イタリヤごろつき組合だ。」
「なるほど、ジゴマと書いてあります。」
「おい、やれ。」
「実に立派であります。」
「これはもっと立派だぞ。」
「これはどちらからお受けになりましたのでありますか。」
「ベルギ戦役マイナス十五里進軍の際スレンジングトンの街道で拾ったよ。」
「なるほど。」
「少し馬の糞はついて居りますが結構であります。」
「どうじゃ、どれもみんな立派じゃろう。」
「実に結構でありました。」
「結構でありました? いかんな。物の云いようもわからない。結構でありますと云うもんじゃ。ありましたと云えば過去になるじゃ。」
「結構であります。」
「ええ、只今のは実は現在完了のつもりであります。ところで閣下、この好機会をもちまして更に閣下の燦爛たるエボレットを拝見いたしたいものであります。」
「ふん、よかろう。」
「実に甚しくあります。」
「うん。金無垢だからな。溶かしちゃいかんぞ。」
「はい大丈夫であります。後列の方の六人でよく拝見しろ。」
「いかん、いかん、エボレットを壊しちゃいかん。」
「いいえ、すぐ組み立てます。もう片っ方拝見いたしたいものであります。」
「ふん、あとですっかり組み立てるならまあよかろう。」
「なるほど金無垢であります。すぐ組み立てます。」

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