宮沢賢治 『ひのきとひなげし』 「ではそのわしがこの紙をひとつぱらぱらめく…
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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『ひのきとひなげし』
現代語化
「では、私がこの紙をパラパラとめくるから、みんな一緒にこう言ってください。<br><div class="jisage_2" style="margin-left: 2em">アヘンは全部差し上げますと」
「では」
「アヘンは全部差し上げます」
「よし。すぐに薬をあげますよ。1回分、2回分、3回分。まず私がここで1回分の呪文を唱えます。すると、ここらの空気にきらきらした赤い波が立つでしょう。それをみんなで吸い込むんです」
「昼の草木と石と土を 照らさないことを怠った 赤い光は集まってきてなすすべなく漂いなさい」
原文 (会話文抽出)
「ではそのわしがこの紙をひとつぱらぱらめくるからみんないっしょにこう云いなさい。<div class="jisage_2" style="margin-left: 2em">亜片はみんな差しあげ候と、」
「では」
「亜片はみんな差しあげ候。」
「よろしい。早速薬をあげる。一服、二服、三服とな。まずわたしがここで第一服の呪文をうたう。するとここらの空気にな。きらきら赤い波がたつ。それをみんなで呑むんだな。」
「まひるの草木と石土を 照らさんことを怠りし 赤きひかりは集い来てなすすべしらに漂えよ。」
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