宮沢賢治 『カイロ団長』 「とにかく大いに盛んにやらないといかんね。…

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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『カイロ団長』

現代語化

「とにかく大盛り上がりしないとダメだよね。そうでないと笑われちゃうよ」
「ほんとだね。どうだろう、1人前90円とか」
「うん。それくらいならまあいいかな」
「いいだろうよ。おや、みんな起きたね。今日は何の仕事をさせようかな。毎日仕事がなくて困るんだよ」
「うん。それは大いに分かるよ」
「今日は石運ばせようか。おい。みんな今日は石を1人につき90匁運んで来い。いや、90匁じゃ少ないかな」
「うん。900貫の方がインパクトあるよね」
「そうだ、そうだ。どれだけいいか分かるよ。おい、みんな。今日は石を1人につき900貫ずつ運んで来い。もし来なかったら警察に引き渡すぞ。裁判所の人も来てくれてるんだ。首をスッポーンと切っちゃうくらい、わけない話だよ」

原文 (会話文抽出)

「とにかく大いに盛んにやらないといかんね。そうでないと笑いものになってしまうだけだ。」
「全くだよ。どうだろう、一人前九十円ずつということにしたら。」
「うん。それ位ならまあよかろうかな。」
「よかろうよ。おや、みんな起きたね、今日は何の仕事をさせようかな。どうも毎日仕事がなくて困るんだよ。」
「うん。それは大いに同情するね。」
「今日は石を運ばせてやろうか。おい。みんな今日は石を一人で九十匁ずつ運んで来い。いや、九十匁じゃあまり少いかな。」
「うん。九百貫という方が口調がいいね。」
「そうだ、そうだ。どれだけいいか知れないね。おい、みんな。今日は石を一人につき九百貫ずつ運んで来い。もし来なかったら早速警察へ貴様らを引き渡すぞ。ここには裁判の方のお方もお出でになるのだ。首をシュッポオンと切ってしまう位、実にわけないはなしだ。」

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