牧野信一 『痴日』 「さつき、玄さんに遇つたら――どちらへ? …

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青空文庫図書カード: 牧野信一 『痴日』

現代語化

「さっき、玄さんに会ったら――どこ行くんですか?って聞かれたよ。東京ですか?って」
「なんかそう見えたのかな」
「だって、かばんまでぶら下げて、調子乗ってただろ……」
「写真屋も、そんなこと聞いてるよ。そのまま電車乗ったらどうかな」
「え?」
「人に会ったり、喫茶店行ったり、それから映画見たり……」
「そのコート、お前にはでかすぎじゃん。エスキモーみたいだよ」
「そうだよ。だから、どうせ外着にはならねえよ。――その代わり、めっちゃ楽で、中で泳いでるみたい」
「さすがに、それじゃ暑いでしょ」
「ちょっとだけ……」

原文 (会話文抽出)

「さつき、玄さんに遇つたら――どちらへ? なんて云つたわね。東京ですか? だつてさ。」
「ちよつと左う見えたんだらう。」
「なにしろ、鞄までぶらさげて、氣取つてゐるんだからね……」
「寫眞屋も、そんなことを訊いてゐるのさ。あのまゝ汽車に乘つたら何うだらう。」
「え?」
「人に會つたり、喫茶店に寄つたり、それから映畫でも見たり……」
「その外套、お前には餘つ程大きいね。エスキモー見たいだぞ。」
「左うよ。だから、何うせ他所行きになんかなりつこないさ。――その代り、凡そ窮屈ぢやなくつてよ、中で泳いでゐる見たいよ。」
「さすがに、それぢや、暑過ぎるだらう。」
「ほんの少し……」

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