牧野信一『城ヶ島の春』「ところが、たうとう鳥をつかまへたといふわ…

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現代語化

「そしたらね、とうとう鳥を捕まえちゃったんだって。当分は、この鳥の世話で、夜も寝れないかもよ。」
「夏まで三崎にいるつもりなの？」
「たぶん、いないだろう……」
「夏になると、着物を頭に巻いて、男たちは船がなくなると、ここら辺は泳いで渡るんだよ。」

「ところが、たうとう鳥をつかまへたといふわけさ。當分は、この鳥の介抱で、夜の眼も眠らないかも知れないんだよ。」
「夏まで三崎に居るつもりかね？」
「多分、居ないだらう……」
「夏になると、着物をあたまにしばりつけて、男どもは舟がなくなると、こゝの間ぐらいは泳いで渡るんだよ。」