林不忘 『仇討たれ戯作』 「尊家は仙方延寿丹、または江戸の水とやら申…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『仇討たれ戯作』

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「あなたは不老長寿薬か、江戸の水という化粧水を売り出して、宣伝チラシを書いたり、なんと自分の作品にまでその効用を宣伝してるって本当ですか?もし本当なら、なんでそんなことしてるのか教えてください。」
「そんなことやってるのは私だけじゃないですよ。京伝の煙草入れや煙管、最近では読書丸も、自分で宣伝チラシを書いて、自分の作品で宣伝してますよ。」
「いや、山東京伝さんは山東京伝さんとして、あなたの考えを聞きたいんです。」
「人間は、売れるものがたくさんあるほど生活がよくなるもんですからね。不老長寿薬も江戸の水も、私の戯作も、全部生活費のためですよ。」
「何でも生活のためって言うんですね。」
「そう。大人の勉強や、あなたの執筆活動も、結局は生活のためでしょ。」
「いや、私はそんなことは考えません。私は文芸の道のためにだけ筆を取ります。」
「文芸の道――そんなものどこにあるんですかね?一度見てみたいもんです。」
「なるほど、六樹園さんは小伝馬町の名旅館・糠屋の御曹子で、一生食べ物に困らない財産を持ってるから、初めて文芸の道なんて綺麗事を言えるわけですね。文章を売ってなんとか家族を養ってる連中は、正直に売文屋って名乗ったほうが、まだ清々しいですよ。」

原文 (会話文抽出)

「尊家は仙方延寿丹、または江戸の水とやら申す化粧水を売り出し、引札を書き、はなはだしきは御著作の中にその効能を広告なさるということですが、真実ですか。もしほんとうならどういうおこころでそういうことをなさるるかそれを伺いたい。」
「さようなことは私ばかりではげえせん。京伝の煙草入れ、煙管、近くは読書丸、ともに自ら引札も書き、また作品のなかで広告をいたしておりやす。」
「いや、山東氏は山東氏として、足下のお気持を聞きたいのです。」
「人間は何でも売る物が多ければ多いほど生活がよくなりやすからな。延寿丹も江戸の水も、私の戯作も、みなこれ旦暮の資のためでげす。」
「なにごとも生活のためと仰せらるる。」
「さよう。大人の御勉強、御著述も、早く言えば生活のためでげしょう。」
「いや、拙はさようなことは考えませぬ。拙は文学道のためにのみ筆をとります。」
「文学道――さようなものはどこにあるか一度めぐり会いてえものでげす。」
「なるほど、六樹園大人は小伝馬町の名だたる旅亭糠屋のおん曹子、生涯衣食に窮せぬ財を擁してこそ、はじめて文学道の何のときいた風な口がきけやす。文を売って右から左に一家の口を糊する輩は、正直に売文を名乗ったほうがまだ茶気があるだけでも助かりやす。」

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