林不忘 『口笛を吹く武士』 「とんでもない失礼なことを申しまして――。…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『口笛を吹く武士』

現代語化

「とんでもない失礼なことを言ってしまって――。」
「お前か。さっき何か言って笑ったのは。」
「いえ。ついつい、私が気に障るようなことを言ったものだから――。」
「黙ってろ。」
「こいつ、うるせえな。身体の構え、目つきが、どうも普通じゃねぇぞ。」
「これ、俺だけに謝らせとくんじゃねぇよ。お前も座れ――いや、お侍様、こいつはちょっと変わった奴でして、頭はおかしくないんですけどね。」
「変わった奴か。ははは、変わってるのは間違いないよ。武士が、町人の格好してるんだからな。」
「とんでもない! 私は生粋の町人でございます。下谷の者でしてね。仕事でちょっと京都の方へ行ってまして――。」
「顔にケガしてる――ほら、この傷が、何よりの証拠だ。」
「売るなら、買おうか。」
「この男は売ります――でも、やめた。もう、お前らには売らねぇ。」
「喧嘩を売るなら、買ってやるけど。」
「お前は、相手も見ずに、武士に何言ってんだ――。」
「ふん。」
「この手、この、俺の手を取る手が――おめえ、柔術は、かなりやるな。」

原文 (会話文抽出)

「とんでもない失礼なことを申しまして――。」
「貴様か。いま何かいって笑ったのは。」
「いえ。つい、わたくしめが、お気にさわるようなことを申しましたので――。」
「黙っておれ。」
「こいつ、騒がんな。体の構え、眼の配りが、どうも尋常でないぞ。」
「これ、わしにばかり謝まらせておらんで、お前もすわって――いえ、お侍さま、これはすこし、変り者でございまして、気はしごくよろしいのでございますが。」
「変り者か。うふふふ、変りものにゃあ違えねえ。武士が、町人の服装をしておるのだからな。」
「滅相もないことを! わたくしどもは、正直正銘、生れながらの町人なんで。下谷の者でございます、へえ。商用で、ちょっと上方のほうへまいっておりましたのが――。」
「面擦れ――こら、この面ずれが、何よりの証拠だ。」
「売り物なら、買おうか。」
「この男は売りもの――だが、止めた。もう、貴様らにゃあ売らねえ。」
「売る喧嘩なら、買おうかというのだ。」
「お前は、まあ、相手も見ずに、お侍さんに何をいうのだ――。」
「ふん。」
「この手、ほら、この、おれの手を取る手が――おめえ、柔術は、相当やるのう。」

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