GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『山鴫』
現代語化
「いないわけないじゃん? 石みたいに落ちてきたのを見たんだから、――」
「当たったのは当たったけど、羽に当たっただけだったかもしれないよ。それなら落ちてからも逃げられるはずだよね。」
「いや、羽に当たっただけじゃないよ。絶対俺が打ち落としたんだ。」
「じゃあ犬が見つけるはずだよ。ドラは撃ち落とした鳥があれば、必ずくわえてくるんだから、――」
「でも事実撃ち落としたんだもん、仕方ないでしょ。」
「撃ち落としたのか、落としてないのか、そのくらい区別は子どもでもわかるよ。俺はちゃんと見てたんだ。」
「じゃ、犬はどうしたんだ?」
「犬なんて俺にはどうでもいい。俺はただ見たままを言ってるんだ。とにかく石みたいに落ちてきたんだから、――」
原文 (会話文抽出)
「ゐないやうだね。」
「ゐない訳があるものか? 石のやうに落ちるのを見たのだから、――」
「中つた事は中つても、羽根へ中つただけだつたかも知れない。それなら落ちてからも逃げられる筈だ。」
「いや、羽根へ中つただけではない。確に僕は仕止めたのだ。」
「では犬が見つけさうなものだ。ドオラは仕止めた鳥と云へば、きつと啣へて来るのだから、――」
「しかし実際仕止めたのだから仕方がない。」
「仕止めたか、仕止めないか、その位な区別は子供にもわかる。僕はちやんと見てゐたのだ。」
「それでは犬はどうしたのだ?」
「犬なぞは僕の知つた事ではない。僕は唯見た通りを云ふのだ。何しろ石のやうに落ちて来たのだから、――」