林不忘 『元禄十三年』 「おい、御次第書は、どうした。ないのか。本…

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「おい、御次第書はどうした。ないのか。本役は美濃だ。一応、目を通しておかないと、不都合だ。出せ」
「ありません」
「紛失したな」
「いや、持ってる。だけど、こっちが高家筆頭だ。私が見ておけば、それで十分だ。君に関係ない話だ」
「なんだ、御饗応の御次第書が、本役の俺の知ったことじゃないと――」
「まあ、そんなに大声を出さないで――もうすぐ天奏衆が到着する。その声が耳に入ったら、失礼だぞ」
「御老中連名の御次第書だ。天奏衆の出発の準備などが書いてあるだろう。こちらから老中へ返納する。出せ!」
「これだけの心得がなくて、本役を務められるか――勅使両山御霊屋に御参詣、お目付お徒士頭が出る。定例だぞ。十三日が、天奏衆の御馳走のお能。高砂に、三番叟。名人鷺太夫が出演する。御三家、老若譜代大名、諸番頭、物頭、お医師まで拝観、とある。覚えておけ」
「やあ、どうも、とんでもなく複雑な注文だったので、すっかり時間がかかってしまいましたが、やっとできましたよ」

原文 (会話文抽出)

「おい、御次第書は、どうした。ないのか。本役の美濃である。一応、眼を通しておかなければ、不都合だ。さし出すがよい。」
「ござらぬ。」
「紛失いたしたな。」
「いや、持っておる。が、このほうは高家筆頭じゃ。わしが見ておれば、それで充分。お手前に関係したことではない。」
「なに、御饗応のお次第書が、本役のおれの知ったことではないと――。」
「まあさ、そう大きな声をされんでも――今にも天奏衆がお着きになる。その銅鑼声がお耳にはいっては、おそれ多い。」
「御老中連名のお次第書だ。天奏衆御出発の用意等、出ておるであろう。こちらから老中へ返納いたす。出せ!」
「これだけの心得がなくて、本役をお受けできるか――勅使両山御霊屋へ御参詣、お目付お徒士頭が出る。定例じゃぞ。十三日が、天奏衆御馳走のお能。高砂に、三番叟。名人鷺太夫がつとめる。御三家、老若譜代大名、諸番がしら、物頭、お医師まで拝観、とある。おぼえておけ。」
「や、どうも、おっそろしく混みいった注文だったもんで、すっかり手間を食っちゃいましたが、やっとできましたよ。」

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