林不忘 『元禄十三年』 「岡部殿!」…

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青空文庫図書カード: 林不忘 『元禄十三年』

現代語化

「岡部殿!」
「――――」
「あなたは私に何も聞かないけど、本役を引き受けたくらいだから、全部心得てるんでしょう?」
「ところが、何も知らない。自分でも、笑っちゃうよ」
「ふざけてないで、それでいいんですか」
「いいも悪いも、知らないことはどうしようもないよ」
「知らないことは、どうしようもない? よく、そんなことが言えるな――」
「でも、それも計算のうちで、こうしていれば、あなたみたいな親切な人が色々教えてくれるだろうから、なんとかなるでしょう。それで、わざわざ急いでないんです」
「忙しいんです。あなたを相手にして暇を無駄にしたくない。でも、当日出す料理は、もちろん知ってるんでしょう」
「それも知らないから、呆れちゃうよ」
「美濃殿!」
「冗談言ってる場合じゃない。私が責任を取ることになるから、これだけは言っておく――到着の日、饗応は、魚は使わない。精進料理です」

原文 (会話文抽出)

「岡部殿!」
「――――。」
「お手前は、私に何ごともお尋ねないが、元より御本役をお引受けなされたくらい、万事心得ておらるるであろうの。」
「ところが、何も知らぬ。われながら、笑止。」
「とすましておられて、それでよいのか。」
「よいも悪いも、知らぬことはどうにもならぬげな。」
「知らぬことは、どうにもならぬ? よく、さような口が――。」
「が、また、そこはよくしたもので、こうしておれば、貴殿のような親切な仁が、何かと教えてくれるであろうから、まあ、どうにかなるでしょう。などと考えて、あえてあわてませぬ。」
「多用です。お手前ごときを弄して、暇を欠かしてはおられん。が、当日さし上げるお料理の儀は、いうまでもなく御存じでありましょう。」
「それも御存じないから、呆れたものですな。」
「美濃殿!」
「おふざけ召さるる場合でない。手前の落度になりますから、これだけ申し上げておく――お着の日、御饗餐は、魚類をいといます。精進料理ですぞ。」

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