林不忘 『元禄十三年』 「今年は、お兄上岡部様が、御本役で、お添役…

青空文庫現代語化 Home書名リスト林不忘 『元禄十三年』

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。 正しく現代語化されていない可能性もありますので、必ず原文をご確認ください。


青空文庫図書カード: 林不忘 『元禄十三年』

現代語化

「今年は岡部殿が本役で、副官は?」
「立花殿です」
「立花出雲殿か――副官ならまあいいけど、本役になったら大変だと察します」
「苦労は多いけど、費用がかかる。それが無事勤まったとしても、戦場で一番槍を獲るほどの功績にはならないし、一生に一度の栄誉かもしれないけど、正直、嬉しくも何ともないですね。ところで、あたりまえだけど、吉良殿の方には何か贈りましたか――」
「兄が何か考えているらしく、吉良殿への贈り物はしないと言ってるので、困ってるんです」
「岡部殿らしい。でもそれはいかん。危ない」
「それについて、実は――」
「最初の贈り物が足りてないようですね。うちの主人も、吉良殿にひどい目に遭わされて、刃傷沙汰になるところを、私が慌てて例の天瓜の冬を届け直して、はははは――」
「恐れ入りますが」
「去年の勅使の日程表を所持されていたら、ちょっと貸してください――」
「簡単ですね。あるはずです」

原文 (会話文抽出)

「今年は、お兄上岡部様が、御本役で、お添役は?」
「立花殿です。」
「立花出雲守さま――添役は、まあ、なんですが、本役となると、お察しします。」
「気骨が折れて、出金が多い。それで、無事勤めたところで、戦場一番槍ほどの功にはならんのですから、一生に一度の、まず名誉かもしらんが、正直、ありがたくありませんな。ところで、申すまでもなく、そこらに抜かりはありますまいが、吉良さまのほうへ、いくらかお遣わしになった――。」
「兄に、何か考えがあるとみえて、吉良への進物は断じてならぬと申しますので、困っております。」
「岡部様らしい。が、それはいかん。それは、危ない。」
「それにつきまして、じつは――。」
「最初の贈り額がたりませんでな。手前の主人も、さんざ吉良様にいじめ抜かれ、すんでのことで刃傷におよぶところ、手前が、遅ればせに、例の天瓜冬の届け直しをやって、はははは――。」
「おそれいりますが、」
「昨年の勅使お日取りが、お手元にありましたら、ちょっと借覧願いたいのですが――。」
「お易い御用。ありますはずです。」

青空文庫現代語化 Home書名リスト林不忘 『元禄十三年』


青空文庫現代語化 Home リスト