林不忘 『元禄十三年』 「やるものをやらんと、意地悪をしますぞ、兄…

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現代語化

「やるべきことをやらないと、いじわるするぞ、兄ちゃん」
「わざと嘘を教えて役目に支障をきたさせ、それとなく賄賂を要求するってことですよ――」
「賄賂の要求なんて、俺には馬耳東風だよ。何もしてないんじゃない。久野に命じて、四十五文の扇箱を贈っただけだ」
「師匠番ですよ。相場に合わせて――」
「吉良には頼まない」
「兄ちゃんは、殿中の習慣を全部知ってるんですか」
「自慢じゃないけど、何も知らないよ。でも、先例ってのがある」
「先例があっても、時代によって変わることもありますよ」
「そんなら、その時に対応すればいいだろう」
「万が一、失敗したらどうします?」
「俺が責任取るよ」
「一人では済まないです。家も、藩も――」
「何だ、偉そうに! 霊くらべて詰め寄って――」
「兄ちゃんは、吉良に怒らされて、きっと殿中で刀を抜く。刃傷――」
「俺が吉良を斬る――」
「アホか!」
「いや、絶対そうなる。そうしたら岸和田五万三千――」
「斬りなんかしないよ、大丈夫――ただ、逆をやるんだ。ははは、は、全部、吉良の言う逆をするんだ」

原文 (会話文抽出)

「やるものをやらんと、意地悪をしますぞ、兄者。」
「わざとうそを教えて役儀に不都合をきたさしめ、それとなく賄賂を催促するということです――。」
「賄賂の督促など、おれには馬の耳に念仏だよ。何もやらんのではない。久野に命じて、四十五文の扇箱をやった。」
「師匠番ですぞ。いくらか風にならって――。」
「吉良には、頼まん。」
「兄者は、殿上の扱いをすべて御存じか。」
「自慢じゃないが、何も知らんよ。しかし、先例というものがある。」
「先例はあっても、時に応じて変ることもあります。」
「そんなら、そのときのことだ。」
「万一、粗忽があったらどうなさる。」
「おれ一人が、責任を持ったらいいだろう。」
「お一人ではすみません。お家を、お郷藩を――。」
「なんじゃ、賢しらな! 肩をそびやかして詰め寄って――。」
「兄者は、吉良に怒らせられて、きっと殿中で刀を抜く。刃傷――。」
「おれが吉良を斬る――。」
「馬鹿な!」
「いや、必ずそんなことになる。そうすると岸和田五万三千――。」
「斬りなどせんよ、大丈夫――ただ、逆を往くのだ。ははは、は、万事、吉良のいう逆を、な。」

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