新美南吉 『うた時計』 「ひィよめ、 ひよめ、 だんご、やァるに …

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 新美南吉 『うた時計』

現代語化

「『ひよめ、ひよめ、だんご、くれるぐれ』って、今もあるのか?」
「うん、おじさんも知ってる?」
「俺もガキの頃、そう言ってたよ」
「おじさん、昔よくこの道使ってた?」
「うん、中学がこの街だったからね」
「また戻るのかな?」
「分からない…」
「どっち行くんだ?」
「こっち」
「そっか、じゃあバイバイ」
「バイバイ」
「ちょっと待てよ」
「実は、昨日薬局に泊まってたんだけど、間違えて薬局の時計持ってきちゃったんだ」
「…」
「この時計と、こいつも(懐中時計を出す)返しといてくれないか。よろしくな」
「うん」
「薬局のおじさんによろしくね。バイバイ」
「バイバイ」
「君の名前は何だったっけ?」
「廉だよ」
「うん、そうそう、廉は…なんだっけ?」
「潔白」
「うん、潔白、それでなきゃダメだ。立派な大人になれよ。じゃ、ほんとにバイバイ」
「バイバイ」

原文 (会話文抽出)

「ひィよめ、 ひよめ、 だんご、やァるに くウぐウれッ」
「いまでもその歌をうたうのかい?」
「うん、おじさんも知っているの?」
「おじさんも子どものじぶん、そういって、ひよめにからかったものさ」
「おじさんも小さいとき、よくこの道をかよったの?」
「うん、町の中学校へかよったもんさ」
「おじさん、また帰ってくる?」
「うん……どうかわからん」
「坊はどっちィいくんだ」
「こっち」
「そうか、じゃ、さいなら」
「さいなら」
「坊ゥ……ちょっと待てよォ」
「ちょっとな、坊」
「じつはな、坊、おじさんはゆうべ、その薬屋のうちでとめてもらったのさ。ところがけさ出るとき、あわてたもんだから、まちがえて、薬屋の時計を持ってきてしまったんだ」
「…………」
「坊、すまんけど、この時計とそれから、こいつも(と、がいとうの内かくしから、小さい懐中時計をひっぱり出して)まちがえて持ってきちまったから、薬屋に返してくれないか。な、いいだろう?」
「うん」
「じゃ、薬屋のおじさんによろしくいってくれよ。さいなら」
「さいなら」
「坊、なんて名だったっけ」
「清廉潔白の廉だよ」
「うん、それだ、坊はその清廉……なんだっけな」
「潔白だよ」
「うん潔白、それでなくちゃいかんぞ。そういうりっぱな正直なおとなになれよ。じゃ、ほんとにさいなら」
「さいなら」


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