夏目漱石 『それから』 「三千代を僕に周旋しやうと云ひ出したものは…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『それから』

現代語化

「みちよさんを僕に紹介しようと言い出したのは君だ」
「もらいたいと意思表示したのは君だ」
「それは僕も忘れていない。今でも君の好意に感謝してるよ」
「2人で、夜の上野を出て谷中に降りたときだった。雨上がりで谷中の下は道が悪かった。博物館の前からずっと話をして、あの橋のところまで来たとき、君は僕のことを思って泣いてくれた」
「僕はその時ほど友人をありがたく思ったことはない。うれしくてその晩は少しも眠れなかった。月のある晩だったので、月が消えるまで起きていたよ」
「僕もあのときは楽しかったよ」
「君は何で、あのとき僕のことを思って泣いてくれたんだ?なんで、僕のことを思ってみちよさんを世話しようって誓ったんだ?今日のようになるくらいなら、なんであのとき、ふざけてるって言ってほっといてくれなかったんだ?僕は君からそんなひどい仕返しをされるほど、君に対してひどいことをした覚えはないぞ」<ctrl99>

原文 (会話文抽出)

「三千代を僕に周旋しやうと云ひ出したものは君だ」
「貰いたいと云ふ意志を僕に打ち明けたものは君だ」
「それは僕だつて忘れやしない。今に至る迄君の厚意を感謝してゐる」
「二人で、夜上野を抜けて谷中へ下りる時だつた。雨上りで谷中の下は道が悪かつた。博物館の前から話しつゞけて、あの橋の所迄来た時、君は僕の為に泣いて呉れた」
「僕は其時程朋友を難有いと思つた事はない。嬉しくつて其晩は少しも寐られなかつた。月のある晩だつたので、月の消える迄起きてゐた」
「僕もあの時は愉快だつた」
「君は何だつて、あの時僕の為に泣いて呉れたのだ。なんだつて、僕の為に三千代を周旋しやうと盟つたのだ。今日の様な事を引き起す位なら、何故あの時、ふんと云つたなり放つて置いて呉れなかつたのだ。僕は君から是程深刻な復讐を取られる程、君に向つて悪い事をした覚がないぢやないか」


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