GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『それから』
現代語化
「謝まるなんて」
「私が原因でこんなことになったのに、あなたに謝らせるなんて許されませんよ」
「じゃあ我慢しますか?」
「我慢はしません。当たり前でしょ」
「これから先もまだいろいろありますよ」
「あることは知ってます。どんな変化があっても構いません。私はこないだから――こないだから、もし若者と何かあったら、死ぬ覚悟を固めてるんです」
「あなたにこれから先、どうしたらいいという希望はありませんか?」
「希望なんてありません。何でもあなたの言う通りにします」
「放浪――」
「放浪でもいいわ。死ねと言われれば死にます」
「このままでは」
「このままでも構いません」
「平岡さんは全く気づいてないみたいですか?」
「気づいてるかもしれません。でも私はもう覚悟を決めたから大丈夫なのよ。だっていつ殺されてもいいんですもの」
「そう簡単に死ぬのとか殺されるとか言わないでください」
「だって、このままじゃ長く生きられる体じゃないじゃないですか」
原文 (会話文抽出)
「そんな事を為る気なら始めから心配をしやしない。たゞ気の毒だから貴方に詫るんです」
「詫まるなんて」
「私が源因で左様なつたのに、貴方に詫まらしちや済まないぢやありませんか」
「ぢや我慢しますか」
「我慢はしません。当り前ですもの」
「是から先まだ変化がありますよ」
「ある事は承知してゐます。何んな変化があつたつて構やしません。私は此間から、――此間から私は、若もの事があれば、死ぬ積で覚悟を極めてゐるんですもの」
「貴方に是から先何したら好いと云ふ希望はありませんか」
「希望なんか無いわ。何でも貴方の云ふ通りになるわ」
「漂泊――」
「漂泊でも好いわ。死ねと仰しやれば死ぬわ」
「此儘では」
「此儘でも構はないわ」
「平岡君は全く気が付いてゐない様ですか」
「気が付いてゐるかも知れません。けれども私もう度胸を据ゑてゐるから大丈夫なのよ。だつて何時殺されたつて好いんですもの」
「さう死ぬの殺されるのと安つぽく云ふものぢやない」
「だつて、放つて置いたつて、永く生きられる身体ぢやないぢやありませんか」