夏目漱石 『それから』 「そりや代さんだつて、小供ぢやないから、一…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『それから』

現代語化

「それは代さんも、もう子供じゃないんだから、一通りの考えはお持ちなのは当然よ。私なんかのお節介は迷惑でしょうから、もう何も言いませんわ。でもお父さんの立場になってみてよ。毎月のお金はあなたが必要だって言うだけ出してらっしゃるんだから、要するにあなたはお父さんの面倒になることが学生時代より増えているわけでしょ。そうしておきながら、面倒は面倒だけど、大人になったから、言うことはもう聞きませんなんて威張っても通用しないわよ」
「でも、女房をもてばさらに余計面倒をかけることになるでしょう」
「お父さんがそう言ってらっしゃるなら、それでいいじゃない」
「じゃあ、お父さんは、僕に気に入らない女房でも、無理やりもたせるつもりなんですね」
「だって、あなたに気に入った人がいるならだけど、そんな人なんて日本中探してもいないでしょ」
「どうして、そう分かるんですか?」
「あなたはまるで弁護士みたいね」

原文 (会話文抽出)

「そりや代さんだつて、小供ぢやないから、一人前の考の御有な事は勿論ですわ。私なんぞの要らない差出口は御迷惑でせうから、もう何にも申しますまい。然し御父さんの身になつて御覧なさい。月々の生活費は貴方の要ると云ふ丈今でも出して入らつしやるんだから、つまり貴方は書生時代よりも余計御父さんの厄介になつてる訳でせう。さうして置いて、世話になる事は、元より世話になるが、年を取つて一人前になつたから、云ふ事は元の通りには聞かれないつて威張つたつて通用しないぢやありませんか」
「だつて、女房を持てば此上猶御父さんの厄介に為らなくつちや為らないでせう」
「宜いぢやありませんか、御父さんが、其方が好いと仰しやるんだから」
「ぢや、御父さんは、いくら僕の気に入らない女房でも、是非持たせる決心なんですね」
「だつて、貴方に好いたのがあればですけれども、そんなのは日本中探して歩いたつて無いんぢやありませんか」
「何うして、夫が分ります」
「貴方は丸で代言人の様な事を仰しやるのね」


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