長塚節 『土』 「陸稻も地が珍らしい内は出來るもんだわ、穗…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 長塚節 『土』

現代語化

「陸稲も地がまだ新しいうちはできるもんだよ。穂の出た割には分は抜けてないけど、それでも開墾したばかりだから草が生えないから手間がかからないしな。それに肥料なんてほとんどいらないんだから。もちろん3年も作ったらその手には行かなくなるけど、その時はまた前の山林にすればいいから、怖いことも何もないんだよ」
「かなり取れるんだろうな。3〜4反歩も作ったらなぁ」
「この穂の出具合で雨が適度に降れば、反で4俵くらいは絶対取れると思ってるよ」
「陸稲なんて言わないよな。昔とは違って今の時代はそうだよね。この場所によってもだけど、百姓にもずいぶん出世があるんだよな。私たちみたいに洪水で流されてばかりいる場所もあるのに、山林の中で米がとれるなんて」
「そうだね。ここらは洪水の心配はそんなにしないで済むところだからね」

原文 (会話文抽出)

「陸稻も地が珍らしい内は出來るもんだわ、穗の出た割にや分は拔けねえが、そんでも開墾したばかしにや草は出ねえから手間が要らねえしな、それに肥料つちやなんぼもしねえんだから、尤も三年も作つちや其の手にや行かねえが、其ん時や以前の山林になんだから可怖えこともなんにもねえのよ」
「餘つ程とれべえな、三四反歩も作つちやなあ」
「こんで穗の出際に雨でもえゝ鹽梅なら、反で四俵なんざどうしてもとれべと思つてんのよ」
「陸稻とも云はんねえもんだな、以前と違つて今の時世ぢやさうだからこんで場所によつちや、百姓にもたえした起き轉びがあるのよなあ、俺ら方見てえに洪水で持つてかれてばかし居つ處も有んのに山林んなかで米とれるなんて」
「さうよ、此處らは洪水の心配はさうだにしねえでもえゝ處だかんな」


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