芥川龍之介『忠義』「さて、隠居すれば、出仕しようと思うても出…

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現代語化

「さて、隠居したら、出勤しようと思っても出勤することはできない。だから、」
「その前に、もう一度出勤して、西丸の大御所様（吉宗）に、お目通りしたい。どうだ。15日に、登城させてくれないか」
「それも、たった一度だけだぞ」
「恐れ入りますが、その点だけは」
「だめか」

「さて、隠居すれば、出仕しようと思うても出仕する事は出来ぬ。されば、」
「その前に、今一度出仕して、西丸の大御所様（吉宗）へ、御目通りがしたい。どうじゃ。十五日に、登城させてはくれまいか。」
「それも、たった一度じゃ。」
「恐れながら、その儀ばかりは。」
「いかぬか。」