中里介山 『大菩薩峠』 「甲府勤番支配駒井能登守の家中、和田静馬と…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』

現代語化

「「甲府勤番支配駒井能登守の家臣、和田静馬と申します」」
「「なんだ、お前が和田静馬かって」」
「「間違いないですよね。確かにお前が和田静馬か」」
「「間違いない。元駒井能登守の家臣で和田静馬と申すのは、俺しかいない」」
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「「ところが、和田静馬が2人いるから、不思議でしようがない」」
「「どういうことだ」」
「「しかも、今日この上野原の宿に泊まってる客の中に、同じく駒井能登守の家臣で、和田静馬と名乗る奴がいるんです」」
「「これは不思議だ。そいつはどこの宿にいて、何で俺の名前を騙るんだ」」
「「それはさっき俺たちが確かめてきました。若松屋という宿に、今も普通にいるそうです」」
「「怪しいな。そいつの年齢は」」
「「あなたより1つか2つ若いみたいですよ」」
「「生意気な奴だな。まあ、そいつが何で俺の名前を使ってるのか、調べてみよう。連れてきてくれればすぐに分かる」」
「「そうですね。あなたは本物の和田静馬だと、恵林寺の先触もまったく疑ってないようです。若松屋の若者の方が怪しいですね。しっかり調べなければ」」
「「捕まえて引きずりだして、俺が罰すれば罰するし、説教して追い出せば追い出すまでだ」」
「「じゃ、捕まえて連れてきましょう」」
「「ちょっと待て。なんにせよ、まだ若いらしいから、むやみに恥をかかせるのも気の毒だ。俺が一緒に行って、そいつに会ってみよう」」
「「お好きにどうぞ」」

原文 (会話文抽出)

「甲府勤番支配駒井能登守の家中、和田静馬と申す者」
「ナニ、貴殿が和田静馬殿と申される?」
「お間違いではござるまいな、しかと貴殿が和田静馬殿か」
「御念には及び申さぬ、元、駒井能登守の家中にて和田静馬と申すは、拙者のほかにはござらぬ」
「ところが、その和田静馬殿が二人ござるから、物の不思議でござる」
「なんと言われる」
「しかも、同じくこの上野原の宿屋へ今日泊り合せた客人に、同じく駒井能登守殿の家中にて、和田静馬と名乗る御仁がござる」
「これは不思議千万、その者はいずれの宿にいて、何を苦しんで拙者の名を騙るのか」
「それはただいま、我々が確かに会うてその名乗りを承って参った、当所の若松屋というのに、今も尋常に控えておらるる」
「はて怪しい、してその者の年頃は」
「貴殿よりは一つ二つお若うござるかな」
「それほどの年にしては大胆な。ともかく、それは心あってすることか、或いはまた旅路のいたずら心から、わざと拙者の名を用いるものか、これへ同道して突き合わせて御覧あればすぐにわかること」
「いかにも、貴殿がまことの和田静馬殿であることは、恵林寺の先触でも毛頭疑いのないところ、若松屋の若者こそ、甚だ怪しい、篤と吟味を致さねばならぬ」
「引捕えてこれへおつれあらば、拙者から懲らして済むものならば懲らしめ、意見して追い放すべき者ならば、意見を加えてみるも苦しうござらぬ」
「しからばその者を引捕えて、これへ連れて参ろう」
「お待ち下さい、なんにせよ、承れば年若の者、無下に恥辱を与えるも不憫ゆえ、拙者これより同道致し、穏かにその者に会うてみたい」
「それは御随意」


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