中里介山 『大菩薩峠』 「ちと、お尋ね致したいが、其許様はいずれか…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』

現代語化

「「ちょっとお尋ねしたいんですが、どこからいらっしゃったんですか」」
「「甲府から参りました」」
「「甲府のどなたですか」」
「「勤番支配の駒井能登守の家臣です」」
「「駒井能登守の家臣ですか。恐れ入りますが、お名前は?」」
「「和田静馬と申します」」
「「和田静馬殿……で、これからどちらへ」」
「「主人の能登守を追いかけて、江戸まで行く途中です」」
「「お一人ですか」」
「「はい。少し事情がありまして、主人の一行から遅れてしまったんです」」
「「それで、ちょっと本人確認をさせていただきたいので、本陣までお越しいただけますか」」
「「面倒くさいな」」
「「強要するつもりはありません。実は、あなたの身分と、さっき聞いたことを照らし合わせたら、少し不審な点があります」」
「「不審ってどういうことですか」」
「「それは、後ほど改めてお伺いします。お手数ですが、それまでは宿を出ないようにしてください」」
「「わかりました」」
「「無礼を承知でお願いしました」」

原文 (会話文抽出)

「ちと、お尋ね致したいが、其許様はいずれからお越しになりました」
「拙者は甲府より参りました」
「甲府はいずれのお身分」
「勤番支配駒井能登守の家中の者にござりまする」
「駒井能登守殿の御家中とな、失礼ながら御姓名は?」
「和田静馬と申しまする」
「和田静馬殿……」
「して、これよりいずれへお越し」
「主人能登守のあとを慕うて、江戸まで出まする途中」
「ただお一人にて?」
「左様。それには少々事情ありて、主人の一行に後れました」
「ともかく、少々御意得たきことがござる故、本陣まで御足労下さるまいか」
「それは迷惑な」
「強ってとはお願い申さぬ、実は貴殿のお身の上と言い、ただいま承ったところと申し、ちと不審の儀がござる」
「不審と仰せらるるのは?」
「よろしい、しからば後刻また改めてお伺い致そう、御迷惑ながらそれまでは、このお宿をお立ち出でなさらぬように願いたい」
「心得ました」
「これは御無礼の段、御用捨」


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