GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』
現代語化
「「甲斐の石和川まで」」
「「石和川って?」」
「「この川が石和川だ」」
「「石和川に何しに行くの」」
「「この背中に乗せてる女を沈めにかけるんだ」」
「「沈めにかけるって?」」
「「水の中にブクブク沈めて殺すんだ、アハハ」」
「「エッ」」
「「驚くことないよ。昔からそういうことしてるんだ。ここ石和川で禁断の方法で魚を捕った鵜飼を生き埋めにした話は謡曲にもある。魚を捕るのも悪いけど、不倫も悪い。女ってのは、罪をいっぱい犯しながら、いい男を惑わせて地獄に落とすんだ。その罪は、決まりを守らない漁師の罪なんかよりずっと重い。1人の女を生かしておくと、これから何人のいい男がダメになるか分からない。だから、女を見かけたら捕まえて沈めとかないといけないんだ。お前さんに手伝ってもらって、この女を沈めにかけるのはそういうことだ。優しい気持ちになって命乞いとかするなよ、アハハ」」
「「坊さん、また冗談でしょ」」
「「冗談じゃないよ」」
原文 (会話文抽出)
「老和尚、いったいどこへおいでなさるつもり」
「甲斐の国石和川まで」
「石和川というのは?」
「この川が石和川じゃ」
「その石和川へ何しに」
「この背中にある女をそこへつれて行って、沈めにかけるのじゃ」
「沈めにかけるとは?」
「水の中へブクブクと沈めて、殺してしまうのだ、オホホ」
「エッ」
「何も驚くことはない、昔から例のあることじゃ、この石和川で禁断の殺生したために、生きながら沈めにかけられた鵜飼の話が謡の中にもあるわい。殺生も悪いけれど邪淫もよくない、女という奴、十悪と五障の身を持ちながら、あたら男を迷わして無限の魔道へ引張り込む、その罪は禁断の場所で鵜を使って雑魚を捕ったどころの罪ではない。一人の女を生かしておくとこの後、好い男が幾人創物になるか知れたものではない、それ故に、女と見たら取捉まえて沈めにかけておくのがよろしい。お前さんに手伝ってもらって、この女を沈めにかけようというのはそれだ、なまじいの慈悲心を出して命乞いなどをしなさんなよ、オホホ」
「老和尚、またしても冗談を」
「冗談ではないよ」