中里介山 『大菩薩峠』 「はい」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』

現代語化

「「はい」」
「「あの、七里村の恵林寺ってどこですか」」
「「恵林寺なら、ここを真っすぐ進んで塩山駅に出れば分かりますよ。大きなお寺なので、すぐ分かると思います」」
「「ありがとうございます」」
「「お坊さん」」
「「なんだ」」
「「さっきの旅の若いお侍さん、あれは何か分かりますか」」
「「どうだろう、旅の若い侍じゃないのか」」
「「違いますよ」」
「「何が違う」」
「「何が違うって、こっちはお商売柄、足取りを見れば大抵見当がつくんです」」
「「それで、何が見当がついたんだ」」
「「あの足取りは、男の足取りじゃないですよ。女が男に化けてるんです」」
「「女だと?」」
「「そうなんです。男の恰好をしても、足の運びで女だと分かるんです。多分、江戸に逃げるつもりでしょうけど、道中でひどい目に遭うのは目に見えてます」」
「「なるほど」」

原文 (会話文抽出)

「はい」
「あの、七里村の恵林寺と申すのはいずれでござりましょうな」
「恵林寺は、これを真直ぐに進んで行き、塩山駅へ出で、再び尋ねてみられるがよい、大きな寺ゆえ、直ぐに知れ申す」
「それは忝のうござる」
「雲水様」
「何だ」
「今のあの旅の若いお侍は、ありゃ何だとお思いなさる」
「何でもなかろう、やはり旅の若い侍」
「ところが違いますね」
「何が違う」
「何が違うと言ったって雲水様、こちとらは商売柄でござんすから、その足どりを一目見れば見当がつくんでございます」
「うむ、何と見当をつけた」
「左様でござんすねえ、ありゃ女でござんすぜ、雲水様」
「女だ?」
「左様でございますよ、男の姿をしているけれども、あの足つきはありゃ男じゃあございません、たしかに女が男の姿をして逃げ出したものでございますねえ」
「なるほど」
「当人はすっかり化けたつもりでも、見る奴が見れば、一眼でそれと見破られちまうんでござんす。これから大方、江戸表へでも落ちようというんでございましょうが、道中筋で飛んでもねえ目に会わされるのは鏡にかけて見るようだ」
「なるほど」


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