GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』
現代語化
「どなた?」
「こんばんは」
「どなたでございますか?」
「こんばんは。遅くなってすいませんが、ちょっと入っていいですか?」
「一体、あなたはどなたで、このお屋敷にこんなに遅く、何の用事があって来たのですか?」
「俺たちはこの犬に連れて来られたんだけど。もしこのお屋敷に、君ちゃんっていう女の子がいたら、会いたいんだけど。俺たちは米友っていう者なんだ」
「米友さんですか?本当にあなたが米友さんなら、私はお君に決まってます」
「そうか、声が似てると思ったんだ。でも間違いもいけないから、よく聞き分けてたんだ。俺たちの声もよく聞き分けてくれよ。声だけで米友だってわかるだろう?それに、ムクがここに俺たちを連れてきたってのが一番の証拠だ」
「あああ、間違いないわよ。どうしてこんな夜中に米友さんたちが来たの?早く入って。ムクが私に木戸を開けろ開けろって言うから、何か大切な用事なんだろうと思ったけど、米友さんが来るとは思わなかった。さあ、早く入って」
「入ってもいいの?ご主人に怒られたりしない?」
「そんなことないわ。たとえ怒られたとしても、あなたのことなんだから」
「俺たちはいいんだけど、もう一人仲間がいるんだ」
「お連れが?」
「その仲間が、今生死の境なんだ。俺たちのことは後回しにしていいから、この背負ってる人を助けてほしい。頼むよ、君ちゃん」
「それは大変ね。とにかく、早く入って」
原文 (会話文抽出)
「今晩は」
「どなた」
「今晩は」
「どなたでございます」
「今晩は。どうも遅くなって済まねえが、入ってもようござんすかい」
「いったい、あなたはどこのお方で、このお邸へこんなに遅く、何の御用があって来たのでございます」
「俺らはこの犬に引張られて来たんだ。もしこのお邸に、君ちゃんという女の子がいやしねえかな。俺らは米友というものだよ」
「友さん? ほんとにお前が米友さんなのかい。お前が本当に米友さんならば、わたしはお君に違いありません」
「そうかそうか、どうも声がよく似ていると思ったが、もし間違うといけねえから、よく聞きすましていたんだ。俺らの声もよく聞き分けがつくだろう、声だけ聞いても米友の正物だということがわかるだろう、第一ムクがここまで俺らを引張って来たということが何よりの証拠だ」
「ああああ、ちっとも違いないよ。どうしてまあ友さん、この夜中にここへ尋ねて来たの。まあ早くお入りよ。ムクがわたしにこの木戸をあけろあけろというから、何か大切なことがあるとは思ったけれど、友さん、お前が尋ねて来ようとは思わなかった、さあ早くお入り」
「入ってもいいかい、御主人に悪いようなことはないのかえ」
「そんなことはありゃしない、あったってお前さんのことだもの」
「俺らはいいけれど、連れが一人あるんだぜ」
「お連れが?」
「その連れが、いま生きるか死ぬかの境なんだ、俺らのことは後廻しでいいから、この背中に背負っている人を助けるようにしてもれえてえのだ、君ちゃん頼むぜ」
「そりゃ大変。なんにしても、まあ早くお入り」