GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』
現代語化
「殿」
「俺は暇が欲しい」
「暇を?」
「お前はいつまでもこの屋敷にいたいって言ったろ?」
「俺は……俺はいつまでも殿のそばにいたいと思ってました。喜んでおりました。でも今は……」
「今さらお前が辞めたいと思っても、俺は許さない」
「いいえ」
「どうぞ、あっちに行ってください。ここは殿様が来る場所じゃないんです」
「俺はお前にまだ話したいことがあって来た」
「いいえ、もう何もお聞きしません。私はもう暇をもらった身分です。暇をもらえば、主でも召使でもないんです」
「お前はわかってないな」
「いいえ、私はもう何もお聞きしません……私は暇をもらって帰ります」
原文 (会話文抽出)
「わしが呼んでもお前が来ないから、それでお前のところまで来た」
「御前様」
「わたくしはお暇をいただきとうござりまする」
「暇をくれい?」
「お前はいつまでもこの邸にいたいと言うたのではないか」
「わたくしは……わたくしはいつまでもお殿様のお傍に置いていただきとうござりまする、そのつもりで喜んでおりましたけれども、今となりましては……」
「さあ、今となってはお前が切れたくても、わしが許さぬ」
「いいえ」
「どうぞ、あちらへおいであそばして下さいまするように。ここは殿様のおいであそばすところではござりませぬ」
「わしはお前にまだ話したいことがあって来た」
「いいえ、もう何もお伺い申しますまい、わたくしはお暇をいただく身分の者でござりまする、お暇をいただけば、御主人でもなく召使でもないのでござりまする」
「君、お前は聞きわけがない」
「どう致しまして、わたくしは、もう何もお伺い申すことはござりませぬ……わたくしはお暇をいただきとうござりまする、わたくしはお暇をいただいて帰りまする」