中里介山 『大菩薩峠』 「与八さん、たいそう早く御精が出ますね」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』

現代語化

「与八さん、調子いいね」
「いやいや、別に調子よくはないですよ、むしろあんたが早起きすぎですよ」
「昨夜は大変だったね。少しここで休んで」
「お茶でも飲んで」
「ありがとうございます」
「あんたはいつも僕らに親切にしてくれて嬉しいよ」
「そこ座って、与八さん、お礼を言わなきゃいけないんだ」
「そんな、あんたにお礼を言われるようなことしてないですよ、田舎者だから気を遣わせちゃって悪いね」
「お茶どうぞ、遠慮なく」
「はい、ありがとうございます」
「甘いもの好き?羊羹があるよ」
「ありがとうございます、こんな美味しいお菓子いただいてありがとうございます」
「与八さん、体は大きいね」
「はい、大酒飲んで食べ過ぎちゃって」
「その体なら力もあるんでしょ」
「力だけは誰にも負けないよ」
「力ずくなら誰にも負けないけど、昨夜の泥棒みたいに素早い奴にはかなわない、まるで幽霊みたいで、あっちだと思ったらこっちにいて、捕まえる隙がないんだ、だから力じゃどうにもならなくて逃がしちゃった」

原文 (会話文抽出)

「与八さん、たいそう早く御精が出ますね」
「エエ、どう致しまして。わしらあ別に早いこともありましねえが、お前様こそエラク早起きで」
「昨夜は御苦労でしたねえ。まあ少し、ここでお休み」
「お茶を一つおあがり」
「こりゃどうも恐れ入ります」
「お前様はいつも、わしらにそんなに親切をして下さるから有難えと思います、ほんとに済みましねえ」
「さあそこへお掛け。与八さん、わたしはお前さんにお礼を言わねばなりませぬ」
「なんの、お前様にお礼を言われるようなことをすべえ、行届かねえ田舎者ですから、面倒を見てやっておくんなさいまし」
「お茶がはいりました、遠慮をしないで」
「はい、どうも済みましねえでございます」
「甘いものはお好きかえ、ここに羊羹があります」
「どうも済みましねえ、こんな結構なお菓子をいただいてどうも済みましねえ」
「与八さん、お前はずいぶん立派な体格ねえ」
「ええ、大くばかりあってこの世の穀つぶしみたようなものでございます」
「その身体では力もありましょうね」
「力ならたいがいの人に負けましねえ」
「力ずくなら誰にも負けねえけれど、昨晩の泥棒みたようなすばしっこい奴には敵わねえ、幽霊みたようだ、そこにいたかと思うとスーッと消えてしまうだ、あんな泥棒はつかめえどころがねえでがすから力ずくにゃいかねえ、それでとうとう取逃がしてしまった」


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