中里介山 『大菩薩峠』 「ああつまらん、身共ばかりは独り者」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』

現代語化

「まじつまんねー、俺だけ独身かよ」
「おやおや、芳村さんが独り身?それは笑える」
「みどりが見えない、みどり呼んでこい」
「みどりさん、みどりさん」
「殿様がお呼びになってます、すぐ来てください」
「はい……」
「百人一首が始まったところです」
「あ、せっかくなんですが、体調不良なので」
「具合が悪いんですか?面白い遊びで治りますよ、さあ早く」
「それでも、私は和歌ができません」
「あら、あなたほどの知識がおありなのに」
「いえ、まだ百人一首の遊び方も知りません、そんな場で目立っては失礼だと思いますので」
「殿様のご命令ですよ、そんなわがままはできません」
「ほんと、みどりさん、いつもそんな時は、体調悪いとか機嫌が悪いとか言って逃げてばっかり。今日は許しませんよ」
「あれ、殿様の声が聞こえる、早くしないと後でどんな叱責を受けるやら」

原文 (会話文抽出)

「ああつまらん、身共ばかりは独り者」
「おおこれは、芳村氏が男やもめ、笑止」
「みどりが見えぬ、みどりを呼べ」
「みどりさん、みどりさん」
「殿様のお召しでござりまする、直ぐにいらっしゃい」
「はい……」
「ただいま百人一首が始まったところ」
「あの、せっかくではございますが気分がすぐれませぬ故」
「気分がお悪いとや。些細な不快はあの面白い遊びで癒ってしまいまする、さあさあ早く」
「それでも、わたくしには歌が取れませぬ」
「なんのまあ、お前様ほどの物識りが」
「いいえ、まだ百人一首の取り方も存じませぬ、左様なお席へ出ましては、かえって失礼に存じまする故」
「殿様のお言いつけでござりまするぞ、そのような我儘は通りませぬ」
「ほんに、みどりさん、お前はいつもいつもこのような折は、不快じゃの不調法じゃの言いくるめて引込んでばかり。今日は許しませぬ」
「あれ、あのように殿様のお声が聞えまする、早うせぬとあとでどのようなお叱りに会うことやら」


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