GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 中里介山 『大菩薩峠』
現代語化
「ああ、それは雨が降ると困るから裏の山から薪を取ってきたんだよ」
「そうなんだ」
「おじさん、それじゃあ今日は江戸に連れてってくれるの」
「お線香をもう1本あげよう」
「おじいさん、私が大きくなったら絶対仇を討ちます」
「お松坊、ちょっとこっちにおいで」
「はい」
「お前はいつも仇を討つとか言うけど、それはダメだよ。仇討ちなんてのは侍の子がすることだ。お前は念仏を唱えておじいさんの冥福を祈ればいいんだよ」
「でもおじさん、あまりに悔しいよ」
「悔しいのはわかるけど、おじいさんの成仏の邪魔になったら困る。そうそう、今日はお前に江戸に連れてってやるって話だったんだけど、ちょっとけがしちゃってさ」
「えっ、けがをしたの!」
「まあ、たいしたことじゃないよ。昨夜薪を取りに行こうとして転んで腰を木の根っこにぶつけたんだ。2日もあれば治ると思うけど、江戸行きは少し延ばしてもらえるか?」
「江戸なんていつでも行けるよ。早くけがを治してください」
「そう言ってくれるとありがたいよ。それで、お松坊。お前に預けておきたいものがあるんだ」
原文 (会話文抽出)
「でも夜中に目がさめると、おじさんの姿が見えなかったものを」
「ああそれは、雨が降ると困るので裏の山から薪を運んでおいたのだ」
「そう」
「おじさん、それでは今日お江戸へつれて行って下さるの」
「お線香をモ一本上げましょう」
「お爺さん、わたしが大きくなったらば、きっと仇を討ちますからね」
「お松坊、ちょっとここへおいで」
「はい」
「おまえは口癖に敵々というが、それはいけないよ、敵討ということは侍の子のすることで、お前なんぞは念仏をしてお爺さんの後生を願っておればよいのだ」
「でもおじさん、あんまり口惜しいもの」
「口惜しい口惜しいがお爺さんの後生の障りになるといけない。あ、それはそうと、お前を今日はお江戸へつれて行くはずであったが、私は少し怪我をしてな」
「エッ、怪我を!」
「ナニ、大した事じゃねえ、昨夜それ、薪を運ぶとって転んで腰を木の根にぶっつけたのだよ、二日もしたら癒るだろう、江戸行きはもう少し延ばしておくれ」
「お江戸なんぞはいつでもようござんす、早くその怪我を癒して下さい」
「そ言ってくれると有難い。それでな、お松坊、お前に預けておきてえものが一つある」